ステップアップとは?
人や仲間を深く慈しむことから名づけられたラブバード(コザクラインコやボタンインコなど9種類)、人とコミュニケーションをとる事からコンパニオンバードと言われる(中型以上の)インコやオウムは、近年人気はうなぎのぼりです。
ただ、こうした鳥類のお迎えをするなら、その種類に関わらず、ある程度のトレーニングは必要だと考えた方が良いかもしれません。
そこで今回は、必要最小限でありながら、効果が絶大なステップアップトレーニングをご紹介します。
ステップアップトレーニングとは
ステップアップトレーニングは、ケージから手へ、手から止まり木へ、止まり木から手へ、手から手へと移動させるトレーニングになります。
トレーニングは、一つのことが出来たらその都度ご褒美(餌)を与えます。
トレーニングの目的
小型のラブバードやコンパニオンバードはとてもよく懐きますが、放っておくと大好きなはずの飼い主さんにさえ、容赦なく噛みつきます。
こうした問題行動は修正をしなければ必ずエスカレートします。
また、慣れている筈の鳥でも、トレーニングを入れていないのなら呼び戻しが効くかどうかは別の問題であるため、外では回収が出来ないケースもよく耳にします(ロスト)。
こうした事を予防するためにも、ステップアップトレーニングを入れる事をお勧めします。
その結果、もたらされる信頼関係の構築によって、より素晴らしい生活を送る事が出来ますので、ぜひ行っていただければと思います。
最終的な目標
重要なのは、指示(命令)を入れた時に即座に反応できるようになることです。
ですが最終目標は、例え他のことをしていても、指示者が命令をしたときにはそれを止めて手に戻すことが出来る事です。
その為、出来たら終了するものではなく、毎日行うべきものです。
社会性と協調性の育成
実は、鳥にトレーニングを入れる意味は、単なる訓練にとどまるものではなく、雛の内から社会性を身に付けられる、という大きな意義があります。
社会性を身に着けた鳥は協調的で、自信を持ち、人と信頼関係を築く事が出来ます。
そうなれば、その子が将来どのような不遇な運命によって新しい家庭に迎えられようとも、誰からも末永く愛される鳥になるのです。
家族の内のひとりだけに懐いていた鳥は、身内でさえも受け入れず、噛みつき行為や呼び鳴きが増悪し飼育の継続が困難となります。
特に特定の人を呼びつける呼び鳴き・朝夕の絶叫は、手放される原因のほとんどです。
そのような鳥は保護をされても受け入れ先がなく、運よく受け入れられてもたらいまわしになる恐れがあります。
その為、最初に迎えた家庭での過ごし方は、その子の運命を決定するものであると言えます。
開始時期はいつでもいいの?
通常鳥のトレーニングを開始する時期は、小型なら1歳までに、中型なら2歳までに、大型なら3~5歳までに行うのが良いとされています。
ですがこれは、この時期でなければトレーニングができないということではなく、雛から幼鳥の時期にトレーニングを入れる方が楽、という意味になりますので、その気になれば成鳥からでもトレーニングを開始できます。
ただ、成鳥になってからの場合、教えるにも根気がいりますので、長い目で見てあげる心構えでいましょう。
雛や幼鳥ではなく既に成鳥をお迎えした方の中には、根気がいるならトレーニングはほどほどで良いかな、とか、確実に訓練できるのかもわからないならしなくてもいいかな、と思われるかも知れません。
ですが、コンパニオンバードやラブバードは、トレーニングをする事で社会性を身に着け、誰からも愛される美しい鳥へと変貌していきますので、その子の可能性を信じて是非調教をしてみてくださいね。
ステップアップトレーニングの入れ方
事前準備としては、通常の体重(フル)より1割下げおき、ご褒美となる餌を用意しておきます。
ある行動を習慣づける為には条件付けをするのは行動トレーニングの基本ですが、同時に条件反射的に出来るようになるのが目標です。
これはステップアップや呼び戻しの他、あらゆるトレーニングに共通しています。
トレーニング場所
小型~中型鳥ではケージの中に手を差し出して、ケージ内で手に乗る事を最初に覚えさせ、ステップアップとして手から止まり木へ、止まり木から手へ、手から手へと移るように練習します。
一方大型鳥の場合はケージ内ではなく、ケージの外で訓練を行いますが、可能ならケージの見えない別の場所で行います。
これは、ケージの見える場所や見慣れた場所では、縄張り意識を持ち、攻撃性が高くなる為です。
訓練であることの声かけ
トレーニングをするときには、「ステップアップ」と言って、トレーニングであることを伝えます。
嘴では届かない位置にご褒美
差し出す手の位置は鳥の足元ですが、嘴で容易に届く場所ではなく、脚をかけなければならない位置に差し出します。
初めてのトレーニングでは片足だけでもかけられたら、一口ご褒美を上げましょう。
次からは両足を掛けたらご褒美を与えます。
止まり木にバックで戻る
両足が乗ったら、バックで元の止まり木に戻します。手を近づければ上手に戻ると思います。
これを数回繰り返し、素直にケージから手へ、手から止まり木に、止まり木から手に、飼い主の手から他の人の手へと、進めていきます。
最後に
慣れてくると、素直に乗ってくれるようになりますが、時にはうまくいかないことがあり、トレーニングを止めたり、忘れる事もあると思います。
ですが、将来素晴らしいパートナーになってくれる事を信じて、続けていかれる事を願っています。
最後までありがとうございました。



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