コザクラインコ
ラブバードは、オウム目インコ科ボタンインコ属に属している鳥類のことを言い、コザクラインコ、ボタンインコなど9種類がいます。
コザクラインコはラブバード
ラブバードとは何とも愛らしい呼称ですが、その所以は彼らに備わる性質にあるようです。
ペアで飼えば羽づくろいし合いながら寄り添って暮らし、1羽を大切に飼えばただ一人の飼い主に愛情を示す、仲間に対して深い絆を結ぶ事から名づけられたそうです。
インコやオウムはラブバードという呼び名の他コンパニオンバードという呼び方もありますが、それぞれが持つ言葉の意味合いは若干異なるようです。
ラブバードもコンパニオンバード
コンパニオンバードとは、人間と一緒に暮らし、言葉によるコミュニケーション能力と協調性を身に着けながらも、あくまでも自分のしたいことを追及する鳥の事で、飼育下では人がサポートをしなければほとんどは野生化すると言われています。
結局のところラブバードもコンパニオンバードとして購入されるのですが、ラブバードは他の鳥と仲良くさせるよりも、人間に懐かせた方が好ましいようです。

コザクラインコとハルクインコンゴウインコ: 大きさを比較

写真はコンパニオンバードのコンゴウインコとラブバードのコザクラインコ。大きさの差は歴然。
つがいにするなら最初からが良い
手乗りの状態で購入したラブバードを、後からつがいにしようと他の鳥を一緒にすると、喧嘩が始まり傷つけあう事がありますが、それは決して珍しい事ではありません。
人間の調教が入ったコンパニオンバードは、オンリーワン基質でもある為、人間にベッタリと懐かせた方が鳥にとっては幸せだと、個人的には思っています。
ですが後からつがいにする事もできないものではなく、相性があるようなので、購入前にお店の方とよく相談してお迎えする事をお勧めします。
放置をすれば荒鳥に

荒鳥になったコザクラインコ:手乗りリハビリの為にお預かりした子(お預かり1日目)
コンパニオンバード・ラブバードとして購入したはずのインコが、家に連れ帰ると手に乗らなくなったり、突然噛みつくようになることがあります。
何故このような事が起こるのか、それは元来から持つ鳥の性質が関係しているようです。
荒鳥(あらとり)とは
人への警戒心が強い為に人馴れせず、ケージで暴れたり人を噛んだりする状態の鳥を『荒鳥』と言い、手乗りから手に乗らなくなったものを『手乗り崩れ』と言います。
どのような種類の鳥もこうなる可能性はあり、その原因としては環境変化が大きく影響をしています。
鳥が手乗りでいられるのは、お店で毎日手乗りで過ごしているから、あるいはトレーニングや放鳥をしているからです。
ですが、新たな飼い主に迎え入れられた途端、そうした触れ合いが減り、人間の手への恐怖心が生まれてしまうからだそうです。
これは、ゲージの中だけで長時間過ごすと縄張り意識が強くなるために狂暴化する為です。
しつけやトレーニングは早い方が良い
コンパニオンバードを人馴れさせる為には大きさに関わらずどの鳥も、生後半年頃で一人餌に出来たころを迎えると良いと言われています。
ですが、適切なしつけをしておかないと、すぐに手乗り崩れ、荒鳥になってしまいます。
鳥のトレーニングは小型の鳥なら1歳までに、中型なら2歳までに、大型ならば5歳までに入れるのが良いと言われています。
これはトレーニングが入りやすいと言うだけではなく、この時期にしつけやトレーニングを入れる事で、社会性や協調性を身に着ける事が出来、人間にとっても鳥にとっても素晴らしい生活を送る事ができるからです。
ただ、こうした時期を逃したとしても根気よくトレーニングを行い愛情を持って接しさえすれば、悪い癖を治したり、人間との信頼関係を取り戻す事もできるそうです。
とは言え相当な時間と覚悟が必要になりますので、雛をお迎えしたら、早めに適切なしつけやトレーニングを入れる事をお勧めします。
コザクラインコの特徴

※止まったスケボーに乗っているだけです。
オンリーワン基質は随一
コザクラインコに限らず、オウム・インコ類はオンリーワン基質だと言われていますが、中でもコザクラインコはその傾向が強いようです。
その為、大好きな飼い主にはベッタリ甘えますが、それ以外の人に対しては攻撃的になる事も少なくありません。
所が、これも調教次第でいくらでも人に懐きます。大切なのは、社会性を身に着ける事です。

手乗り崩れだったコザクラインコが人の手から手へと移り、誰からも愛される鳥に変貌。
縄張り意識が強く性格はきつい
特に、縄張り意識が強いので自分よりも大きな相手に対しても迷うことなく立ち向かっていきます。
性格はきつめで、ヤンチャ。物を齧ったり落としたりするのが大好きですが、気に入らないおもちゃでは遊んでくれないなど気難しい一面も。
また扉を自力で開けたり、エサ入れや水入れをひっくり返すなどは日常茶飯事です。
しっかり固定をしておかないと脱走は勿論、部屋が悲惨な事に。
鳴き声も大きい
見た目に反して鳴き声は大きく、呼び鳴きを覚えると相手にされるまでずっと鳴いています。
ですが、呼ぶのは愛情故の事なので、時間をたっぷりとって存分に可愛がってあげると、呼び鳴きは必ず治ります。
とにかく飼い主が大好き
オンリーワンであるため、とにかく飼い主さんが大好きです。
あまりお勧めする事は出来ないのですが、私はコザクラインコと、週に1回~2回、夜お布団で一緒に寝ています。
潰すような事はないのですが、本人もそれは楽しみにしているようです。
ラブ・コンパニオンバードに共通の問題点
記憶力が良く、好奇心も旺盛なコザクラインコちゃんは、おしゃべりは得意ではないですが、コンパニオンバードとして社会性・協調性を身に着け、人間のパートナーとして共に生活する事が可能です。
ただ、コンパニオンバードには共通の問題点があり、体の大きさに比例して問題は大きくなります。
呼び鳴き・鳴き声が大きい
先ほども言いましたが、コザクラインコは小さな体に反し大きな鳴き声です。
甲高い声で、かつ早朝から日中は頻繁に鳴くので尚更そのように聞こえるのかもしれません。
しつけをしっかりしておかないと、呼び鳴き・早朝鳴きなど問題行動が見られます。
噛み癖・かじり癖
インコにはそもそも噛みつきや齧るといった習性があります。
その為そうした事をなくすことはできないのですが、最小限に抑えたり、甘噛み程度にすることは可能です。
基本的にはおもちゃを与え、ひとり遊びができるようにしておくことですが、何故噛んでしまうのかを飼い主側が理解し、鳥の要望を叶えさせる他の行動を身に着けさせるようにします。
これが行動修正トレーニングです。
基本のトレーニングと、してはいけない事
ここではまずは基本のトレーニングと、してはいけない事について理解しておきましょう。
トレーニングの基本
トレーニングの基本は、普段の体重を把握して、1割程度体重を落とし、餌への反応を良くする事です。
これは空腹を利用して、命令した行動が出来れば餌や好物をもらえる事を教えるのです。
ステップアップ、クリッカー、呼び戻しトレーニングは基本中の基本になります。
最低でもステップアップは身に着けさせる事をお勧めします。
また、小鳥ではフライトトレーニングを入れるイメージはありませんが、万一に備え、呼び戻しトレーニングもしておくことをお勧めします。
放鳥するときには必ず窓が閉めてあるのを確認し、満腹時は避けましょう。
罰を与えない
最もしてはいけない事は罰を与える事です。
体罰は勿論ですが、悪い行動が見られた時に罰を与える事は、信頼関係を築く上で妨げにしかなりません。
人によっては噛んだときに嘴を指ではじくという方もおられますがこれも体罰に当たります。
また、ケージに戻す(タイムアウト)、ご飯を抜くといった事もトレーニングではしてはいけない事になります。
失敗した状態で訓練を終わらせない
何かの訓練をするときは、出来た時だけ餌を与えます。
失敗したときにも餌を与えると鳥はそれでも餌がもらえると判断して行動しなくなります。
その為に飼い主が注意する事は、訓練のメリハリをしっかりつけて成功と失敗を明白に区別して餌を与える事です。
また訓練を終わらせるタイミングも、指示に従い行動が成功した時になります。
失敗した時にトレーニングを終了すると、鳥自身が自信を持てなくなるからです。
長い付き合いで
自信を持った鳥は、社会性が身に着くので互いに尊重し合って、うまく生活することが出来るようになります。
トレーニングを開始した時には、うまくいかないこともあり、良好な関係構築が築けないのではないかと、私自身ずいぶん悩んだ頃がありました。
そんな時は、無理をせず、鳥と遊ぶ事を優先して過ごすようにしました。
すると鳥の方もリラックスするのか喜んでいるように思え、次の日には気持ちも新たにトレーニングを頑張ろうという気持ちになれるのです。
トレーニングは、鳥にとっては飼い主さんと触れ合う事の出来る貴重な時間でもあります。
ラブバードやコンパニオンバードはきっと楽しみながら行っていますので、上手くできたら(できなくてもいいところを探してでも?)思い切り褒めてあげてくださいね。


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