コンパニオンバード
コンパニオンバードは人に良く懐き、家族の一員として社会生活を営むことの出来る鳥の事で、一般に中型種や大型種を指しています。
特にインコ(オウム目)は大型になるほど賢くなる傾向があり、人間と会話を楽しんだり、遊んだり、一緒に食事を楽しむ事ができるなどコミュニケーション能力がとても優れています。
お迎え前に心構えを
そんな賢い鳥さんですが、雛の内に懐かせても、飼い主さん大好きっ子ゆえに色々な問題行動を引き起こす事も多々あります。
例えばオンリーワン体質のインコ類は、飼い主以外の家族に対しては噛みつく(噛み癖)と言った行動も決して珍しいことではありません。
この様な場合にいずれ問題となるのは、その子の将来です。
長寿であるコンパニオンバードを飼う決心をしたとき、飼い主さんの多くはずっと可愛がり続ける事を誓って高額なお金を支払ってお迎えされると思います。
ですが、飼ってみて初めて知る共に暮らす事の難しさがあります。
大型鳥には決して珍しい事ではない、朝夕の絶叫に近い雄叫びや呼び鳴きなどの問題行動は、近所から苦情が来ることもあるでしょう。
この様な事態の他、飼い主の予期せぬ事情によって飼育の継続が困難となり他人にゆだねなければならなくなる日もあることは、すべての方が想定しておくべき事と言えます。
運よく新たな飼い主に引き取られる事になったとしても、オンリーワン体質や雄叫び・呼び鳴きが治っていなければ、たらい回しになるか、一生保護施設で過ごす事になります。
そのような個体は決して幸せな人(鳥)生とは言えません。
その為にも一番初めの飼い主が、誰からも愛される鳥として仕立て上げていく事が、コンパニオンバードにとって幸せへの道になるのです。
一般に小型のインコなら1歳までに、中型ならば2歳までに、大型なら3歳までにはトレーニングを開始するのが良いと言われています。
その為購入したら早い内からしつけやステップアップトレーニングを行い、問題行動を習慣化させない、あるいは最小限にする為の努力が必要です。
コンパニオンバードはできるだけ多くの人に接する機会を作り、自分以外の家族や近所の子供たちからも愛される社会性を身に着けられるよう、このブログが参考になれば幸いです。
コンパニオンバードの問題行動と対策
代表的な問題行動は6つ
問題行動の代表的なものは、毛引き(羽根の自己破壊行動)、噛み癖、悪い言葉や極端な雄叫び・呼び鳴き、おしゃべりをしない、恐怖症(他人が来るとパニックになりケージ内を飛び回る)
この内、1年で手放す羽目になるのは雄叫びや絶叫などの騒音によるもので、近所迷惑から飼育継続が困難になる為です。
毛引きと過剰羽繕いは要注意
毛引きなどは野生にいる鳥には見られず人の飼育下に特有の行為と言われおり、原因はストレスです。
毛引きは嘴の届く部分で自ら毛を引き抜く行為の事を言います。その特徴は、嘴の届かない頭の毛は綺麗にそろっているのですが、胸や肩、肢などでおハゲができる事です。
毛引きはいきなり始まる事もあり一夜にしておハゲができる事もあるようですが、一般的には前兆としての過剰羽繕いから毛引き行為に移行します。
過剰羽繕いとは、通常の羽繕いが過剰になる事で本来は羽根を綺麗に整える為に行われる筈が、行為にふける為に、通常は見えない羽根の下の綿毛が表面に出てきてしまう状態の事です。
対策の基本は良い行動を増やす事
問題行動の対策の基本は、いかに良い行動を増やして行くかです。
ある問題行動が見られた時は、それを止めさせるという考え方ではなく、①何故その行動をしているのかを分析し、②その行動に代わる他の良い行動を増やしていく、事です。
体験談⑴過剰羽繕いと行動の修正

過剰羽繕いと羽齧り
写真は1歳でお迎えしたハルクインコンゴウインコ(♂サファイア)ですが、最初にみ見られた問題が、過剰羽繕いでした。
※お迎え前からの行動です。初めての飼育でしたから自分ではこれが過剰羽繕いとは気付かなかったのですが、健診の際に医師から指摘されました。
先ほどの基本に則って考えると、まずはどのようなタイミングで過剰に羽繕いを行っているか、そしてどのタイミングならしないのかを把握します。
サファイアが過剰羽繕いするとき
お迎えした当初は、放鳥させるとケージトップに上がりたがりました。
これは、鳥の習性で高い所に上がろうとするからですが、当初は静かにしているから良いと思っていました。
ところがペットカメラで覗いていると羽繕いにふける傾向がある事が分かりました。
その為ケージトップで過ごさせる事を止めるようにしました。
まずは止まり木ケージを購入し玩具を下げて遊べるようにしたり、ステップアップ訓練を毎日行うようにしたところ、換羽と共に綺麗になっていきました。

過剰羽繕いがみられたころ:8月
考えられるストレスは回避
先ほどの過剰羽繕いは退屈させると始まるので、トレーニングや遊びの時間、ケージ内の玩具を確保するなど忙しくさせてあげる事が効果的でした。
ただ、ストレスは他にも考えられます。
例えばサファイアの場合は、当初過剰な接触もストレスの様でしたので、構いたい気持ちは押さえて接するように心がけました。
一方で私が掃除を始めたり、胡桃を洗ったりしていると、自分から近寄ってきて、興味深げに覗いたり私の傍でつかず離れずの距離を保ちながらひとりで遊ぶなどしていました。
コンパニオンバードは、とにかく自分のしたい事を追求する生き物だと言う事がよくわかりました。
体験談⑵噛み癖の修正トレーニング
鳥にとっては自然な行動であるかじるという行為も、コンゴウインコのような大型インコが痛いのは当然ですが、コザクラインコ(通称ラブバード)のような小型の鳥でさえ噛みつかれるとその痛さに驚きます。
ただ、齧る事は本能でもある為完全になくすのは難しいようですが、トレーニングにより甘噛み程度にまで軽減させる事はできます。
ここでもバードトレーニングの基本の観点から、何故飼い主を噛むのかを考える事が重要になります。
トレーニングでは好物の催促の為に噛む
私がトレーニング中に困ったのは、手乗りトレーニング中によく上腕を噛まれたことでした。
トレーニングでは好物のひまわりの種を与えます。止まり木から手へ乗ったらほめて一粒与え、手から止まり木へ移っては一粒与えるのですが、自分のタイミングで種を欲しがり、その為に私の手の上で、嘴の届きやすい上腕を噛んできます。
これがひと噛みだけで皮下出血を伴うほどの力で噛んでくるのでたまりません。
ですがこれは、鳥さんにとっては種をもらいたいという欲求を満たすため、飼い主の注目を集めようとするための行為です。
行動修正トレーニングの基本
そこでこうした行為の対処に必要な事は何か、以下の選択肢から是非考えて頂きたいと思います。
- 鳥のタイミングで餌を与えること、つまり噛まれる前に餌を与える
- 噛まれたら訓練を中断して少し間を置いてから訓練を再開する
- 噛む以外の行為でも餌をもらえる事を教えてあげる
- 訓練を中断して、ケージに戻す
答:3 噛まれる事以外の行為でも種をもらえる事を教えてあげるです。
これが基本に則った最も良い訓練法です。
飼い主の誤った行動とは
それでは、3番以外の答が不適切な理由を考えてみましょう。
1番は、鳥さんの悪い行為を許す事であり最もしてはいけない行為になります。これは、必ず噛む事を助長させます。
2番も決して悪くはないのですが、鳥さんにとっては欲求を満たすものではなく、噛む行為の減少にはつながりにくいかもしれません。
4番のように罰を与えるような事は決してあってはなりません。
また訓練は中断ではなく、成功したタイミングで終了するのがよく、鳥さんが上手くできた事を大げさに褒めてあげ、終了する事を伝えましょう。
サファイアの具体的な修正トレーニング例
例えば私は、コンゴウインコがおしゃべりをしてくれたら良いなと思っているので、彼が「ウェッ」と声を出したタイミングで、「ちょうだい」という言葉を言いながら与えるようにしました。
これは、手乗り訓練以外で声を出したタイミングを見計らうのです。ケージの中にいる時、遊んでいるときなどです。
鳥さんがおしゃべりをする(言葉を覚える)のは、リラックスした状態だと言われていますので、まだまだおしゃべりは先になりそうですが、噛んでアピールする事は格段に少なくなりました。

後日談ですが、9月13日頃(お迎え4か月過ぎ)から催促するときに「オハヨウ」と言うようになりました。また、いくつかの言葉を覚え始め、現在は私の気を引く時に「サファイア」「オハヨウ」とよくしゃべります。
この記事はまた改めて投稿します。「ちょうだい」はありません…が、覚えたての「アイラブユー」は言ってくれます。
お迎え後の日々のトレーニング
大型の鳥に限らず雛ならば尚更可愛い為、ついしつけが後回しになりますが、あっという間に成長になりますので、早い時期でのトレーニングを心がけましょう。
トレーニングが入りやすい個体は、ひとり餌が順調に出来、ケージ内でひとり遊びが出来る幼鳥(大型なら1歳未満)です。
問題行動を予防をする為にも毎日
問題行動が習慣化したり、顕著な場合にはその一つ一つの行為を直す為の矯正プログラムが必要になりますが、素人には難しい場合も多々あります。
その為、問題行動を習慣化させない早期の行動やトレーニングが必要です。
購入を決意するのであれば、毎日のトレーニングが確実にできる環境に整えておくと良いでしょう。
トレーニングは、毎日行う事が重要で1回数分でも構いません。可能なら1日2回行います。
鳥がメニューをこなすことができたら、大げさなくらいに褒めてあげましょう。
鳥が懐いたり言う事を聞くのは、餌を与えてくれる人やケージの掃除をする人ではなく、一緒に遊んでくれたり、大好物の食べ物を与えてくれる人です。
その為トレーニングは、遊びを一緒にしているように楽しめる要素を取り入れたり、大好物はトレーニングのときだけしか与えないなど、メニューにメリハリをつける事が大事です。
私は、トレーニング以外にも1時間から2時間ほど寝室で自由にさせ、私はベッドで寝ころびながら、ひとり遊びができるようにさせています。

訓練の合間に自由時間を設け、 のびのびとひとり遊び

この時は、ひまわりにも目をくれず夢中で遊んでいますし、それから間もなくおしゃべりしだしました。
懐くと言う事は、呼び鳴きが始まる可能性もありますので、ひとり遊びをしているときは、決して過度に接するようなことはせず、時々ご褒美を与える程度にしましょう。
トレーニングメニューについては、改めて後日記事でご紹介いたします。
好ましくない行動には決して反応しない
飼い主が好ましくないと思う事は、決して反応しないようにします。
例えば、飼い始めてすぐにママさんには甘えるのに、パパさんには嚙みついたとします。
この時、ママさんは「あらあら」などと言いながら笑ったり、楽しんだ様子をすれば、もう噛み癖が付くと思った方が良いでしょう。
何故なら、鳥はこの行動によって喜んでもらえたと関連付けるからです。
好きな飼い主に構ってほしいがために、他人にかみつく事を覚えるような事はあってはなりませんね。
叱ったり、叩いたりしない
好ましくない行動をしたときでも、大声で叱ったり、叩いたり、嘴をはじく、ケージに戻す、餌を与えないと言った体罰的な要素の罰は決して与えてはいけません。
コンパニオンバードは本で紹介されるよりはるかに頭が良い生き物です(少なくとも私はそう思っています)。
嫌な事はずっと覚えていますし、行動と反応を関連付けて考えています。これをしたらああなる、この人はこうする、という具合に。
その為、好ましくない行動を行った際には、それに代わる新たな行動を身につけさせるようにします。
そして伸ばしたい行動は褒め(絶賛)、これをするとよい事があるという認知をさせていきます。
ほめる時にも一定の注意が必要!?
私は1歳直前のハルクインコンゴウインコをお迎えしましたが、2か月が過ぎてもうかつに手で触れようものなら容赦なく噛みついてきます。
インコ類は大げさなくらいほめると良いとどの本にも書いてありますので、早く懐かせたいと焦った私は、お迎え後の1週間の放置(無関心)期間を終えるとすぐに、餌を食べるだけでも褒めちぎってみる事にしました。
所がお迎えから日の浅いコンゴウインコにとっては、いきなり顔を近づけて意味の解らない言葉でほめられても、反って警戒反応が強くみられるようになっただけで、頭の毛を逆立てたり、噛みつきの仕草や、猫のようにシャーッと威嚇してみせる行動までもあったのです。
このような飼育者側の態度により、反って溝を深めてしまう事もありますので、ほめるにしても鳥の正面からお顔を見つめたり、正面に立つなどはしないように気を付けます。
また、ささやき声や、シーっという表現は他の動物に襲われる感覚に近い為、話しかける時は若い女性の声(高く柔らかい)が良いと言われています。
このことからも言えるのは、行動修正は私たち飼い主側の行動のトレーニングなのかも知れませんね。
コンパニオンバードは、共に成長していくという心構えでお迎えすれば、深い絆で結ばれる素晴らしいパートナーになるでしょう。
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