コンパニオンバードとの信頼関係
この記事では、コンパニオンバードとの間で、どのようにして信頼関係が構築されて行くのか、また、実際の私の愛鳥、ハルクインコンゴウインコのしつけや訓練を通じて学んだ事などをご紹介したいと思います。
信頼関係とは
心理学的には、信頼関係とは、お互いが安心した状態で頼りにしあえる関係のことを言います。
そうだとすると、私にとってハルクインコンゴウインコとの信頼関係は、彼が、私に触れられる事を受け入れていくれる事だと思いました。
お迎えから5か月以上が過ぎ、傍目にはよく懐いているように見える私のハルクインコンゴウインコのサファイアですが、大きな課題がありました。
それは、特別な状況でなくても、体や頭を撫でさせてくれる、という事なのです。
鳥さんのしつけやトレーニングで悩んでおられる方が、この記事を読んで少しでも解決の手助けになれたなら幸いです。
コンパニオンバードとは
コンパニオンバードとは、人に慣れ、家族の一員として親密な共同生活を送る事ができる鳥の事を言い、ペットを超えた存在になると言われています。
その為、近年人気を博しており、大型鳥の価格は高騰していますが、雛が市場に出回れば、アッと言う間に売れてしまうのが現状です。
一方で甘えん坊基質ゆえのオンリーワン体質は、多くの問題を引き起こします。
その為、ある程度のしつけや調教を入れておかなければ、呼び鳴きなどの問題行動が始まります。
呼び鳴きのひどさや、噛む力の強さは実際に飼ってみなければわかりません。
オウムやインコに高いお金を支払っていざ飼育をしてみて、初めて知るこうした問題に肩を落としている方も多いのではないでしょうか?
実は購入から1~2年で手放されるケースで最も多い理由は、飼い主を呼びつける『呼び鳴き』です。
このような問題をオンリーワン体質の性格だからとあきらめているとしたら、それは人間にとっても鳥さんにとってもとても悲しい事です。
何故ならそれは、本来の良好な関係性を構築できれば、治る問題かも知れないからです。
コンパニオンバードとの関係構築
コンパニオンバードの良さは、その甘えん坊な性格で、可愛さからつい溺愛してしまいますが、それが悲劇の始まりです。
コンパニオンバードとの良好な関係とは
良好な関係を構築する上で重要な要素は社会性を身に着けているかどうかになります。つまり、ただべた慣れしているだけの状態では決して良好な関係とは言えません。
社会性とは、人間との間に一定の距離を保ち、ある程度人間の生活に馴染む事ができる協調性がある事です。
社会性があると言える為には、少なくとも以下の3つの項目に該当するような鳥に仕立てる必要があります。
- 臆病でも攻撃的でもない成鳥にする
- 静かでも騒々しくもない成鳥にする
- 人と適度に遊び、一人遊びもできる成鳥にする
そしてこの目的を達成する為に特に重要なのが、以下の行動になります。
- 望ましい行いをしたときにはほめる
- 望ましくない事をしているときは、反応をしない
- 体罰を与えない
- 鳥に呼び癖や噛みつき癖をつけない
- 鳥に選択肢を与え、自ら選ばせる
- 特定の人への固執や縄張り意識を持たせない
こうした行動は、日常に見られるあらゆる場面でその都度行います。
餌を与える時、ステップアップ訓練の時、玩具を与える時、一緒に遊ぶ時などです。
それぞれの詳細については是非こちらの記事をご参照ください。
不適切な関係とは
コンパニオンバードとの良好な関係が築けない場合の主な問題点は次の6つの行動に現れます。
- 毛引き(羽根の自己破壊行為):ストレスを発症した時に見られる自己の羽根破壊行為でこの6つのうち最も深刻。羽根に異常が見られたらまずは獣医師に受診し、病的なものかの判断を。
- 噛み癖:鳥にとってかじるという行為は自然なことですが、それが人に向けられた時、また、自己の羽根破壊行為へ移行した時には問題として対処が必要になります。
- 悪い言葉や呼び鳴き:飼い主にかまってほしいがために大声で呼んだり、悪い言葉を連呼したりします。
- 極端な雄叫び:絶叫です。朝夕に鳴くようになると近所からクレームが。
- おしゃべりをしない:言葉を教えているのにしゃべらない状態です。
- 恐怖症:人が来るとパニックになりケージの中を飛び回ります。
こうした問題を引き起こす要因は、飼育者との不適切な距離間です。
雛からお迎えした子は要注意
通常動物のお迎えで良いとされる時期は、ひとり餌に切り替わった頃の雛から幼少期へ移行する時期で、飼い主に最も懐きやすいと言われています。
甘やかされ過ぎた鳥
特に雛から飼っている甘えん坊さんは要注意です。
生後6か月の時にお迎えして、2年になると言うのに呼び鳴きが直らない、なんてことがあります。
飼育に関してあまり知識がないまま雛を迎えると、可愛さのあまり溺愛し、行動修正をしなければならない時期を逃してしまう事がしばしばあります。
雛から育てている場合、溺愛されて飼い主がそばに居がちです。このような鳥さんは、ひとり遊びができずに育つ事があります。
鳥さんは飼い主がいる事を当たり前のように受け止めて育ち、ひとりになる事に不安を覚え、いつのまにか呼び鳴きが増悪してしまうのです(不安分離症)。
ひとり餌にできるか
一般に購入時期として適切なのは、挿し餌を卒業し、ひとり餌になるころ(生後6か月程度)の幼鳥と言われています。
この時期の価格設定は最も高いかも知れません。
ひとりで餌を食べる事ができる、という状態は社会性を身に着ける為のはじめの一歩になります。
特定の場所や人に執着していないか
また、家庭の内のどなたかひとりにべた慣れしてしまう事も好ましい事ではありません。
中型鳥や大型鳥の寿命は25年から50年です。
この様な長い寿命では、いずれ飼い主が病気になったり、高齢化に伴い飼育が困難になる日も想定しておく必要があります。
ですが、特定の人や場所にのみ慣れてしまった鳥さんは、他の人を受け入れる事ができなかったり、慣れていくのに長い時間がかかります。
その為折角新たな家に迎えられても、ストレスによる問題行動から、1~2年でたらいまわしになることは決して珍しい事ではありません。
不測の事態についてはあらゆる場面を想定し、様々な対処ができるようにして置く事が望ましいのです。
「三つ子の魂百まで」は人間だけではない
人間の性質を表すものの表現に、「三つ子の魂百まで」と言うものがあります。
これは「年をとっても、幼いころの性格や気質は変わらない」という意味で、三つ子は単に3歳を指すものではないそうですが、人間は3歳頃になると様々な行動を習得しそれが後の生活に影響していくと言われています。
この事は鳥さんにも言える事で、特に中型以上の問題行動を起こしやすい種類は顕著に現れます。
適切な時期にトレーニングを入れる
トレーニングは何歳までにするの?
鳥のトレーニング(しつけを含む)については、小型鳥なら1歳までに、中型ならば2歳までに、大型ならば3歳までに、しつけやトレーニングを入れるのが望ましいと言われています。
人間の子どもにしろ、動物にしろ適切な時期に修得すべき行動は確かにあります。
こうした適切な時期に適切な行動を身に着けるられると、社会性と協調性を備えた良きパートナーになります。
一方、この時期に適切な行動を習得できなかった場合には、先ほどの問題行動ばかりが目立つようになります。
1~2年で捨てられるのは呼び鳴き
コンパニオンバードが1~2年の内に手放される原因で最も多いのは、呼び鳴き(絶叫)です。
呼び鳴きの理由は、自立心の乏しさや、特定の人への依存心、またひとりにされると見捨てられたと思う分離不安によるものです。
- 自立心の欠乏 これは、ひとり餌ができなかったり、ひとり遊びができない事を言います。
- 特定の人への依存心 その人が不在になると絶叫します。ケージの中からずっと呼び続けます。
- 分離不安 飼い主が急に部屋から退出するなど、ひとりにされた時に捨てられたと思い、不安から絶叫します。
これらの行動修正トレーニングは、日々の中で少しずつ行う事ができます。
時期を過ぎてもトレーニングは諦めない
先ほどお話ししたように、動物のトレーニングを入れる時期は早いに越したことはありませんが、適切な時期を逃したとしてもあきらめずにトレーニングを入れれば、行動修正は可能と言われています。
ただ時間がかかる為、愛鳥を信じて共に成長していく心構えで、気負わず、根気よく、毎日少しづつ行うようにしましょう。
後ほどご紹介しますが、私は1歳直前のハルクインコンゴウインコを購入し、およそ5ヶ月ほどで、噛み癖や絶叫の矯正、おしゃべり、ハーネス装着などの訓練を入れて、公園散歩を楽しんでいます。
信頼関係を築く為に行う事
信頼関係を築く為に行う事と言っても、そのための訓練メニューがあるわけではありません。
ただ、最低でも以下のようなトレーニングをする必要があります。大事なのは、トレーニングメニューの本来の意義です。
具体的なトレーニング内容と意義
- ステップアップ:社会性を培う事ができ、恐怖症の予防や克服が可能です。最も重要な初歩的訓練で、ケージから手へ、手から止まり木へ、手から手へと、毎日3分でも良いから行います。
- おしゃべりトレーニング:おしゃべりをしないのは自己評価が低い可能性があります。自信を取り戻す為にも重要なトレーニングですが、言葉を覚える為には、リラックスできる環境を準備します。
- 外出:信頼関係を構築する上でも最も重要な事が外出です。縄張り以外では飼い主に強く依存するのもコンパニオンバードの特徴なので、外の世界に触れさせることが効果的です。ただし、外出の為にはハーネスなどのリードをつけるか、キャリーケースでの移動を。
クリップ(クリッピング)のリスク
クリッピングとは、鳥が飛べないようにする為に、風切り羽根の外側3~4枚を、羽根の途中でカットする処置を言います。
大型鳥ではお迎え前にされているショップもあります。
所が、クリッピングをしていても、不意の騒音や人影に驚いて十数メートル飛んでしまう事もありますので、外界では返って危険リスクが高まります。
トレーニングをした子を紹介
私は、2024年4月下旬に、コンパニオンバードである、1歳目前のハルクインコンゴウインコを購入しました。
大型鳥の1歳は人間に例えると、10歳くらいの子どもに当たります。雛からお迎えをしたのとは異なり、未だ意味もなく身体に触れようとすると強い拒否反応を示します(9月末)。
傍目には慣れているように見える愛鳥のサファイア、残す課題は信頼関係の構築です。
お迎え時と現在の鳥の状態を比較
元々状態が良くなかったのですが、お迎え後に病院で健診を受け、そこで竜骨突起部に変形がある事を知りました。
購入時の状態
- 購入時期:2024年4月下旬
- 性別:男の子(6月にDNA鑑定)
- 健康状態:栄養失調による骨の変形(竜骨部)
- 感染症:なし
- 羽根の状態:ストレスマーク・一部欠落・変色
- 懐け状態:人の手から餌を食べる事ができるが、体に触れる事は断固拒否
- 調教:なし
- 絶叫:0回~2回/日 昼間に一声か二声を時々
- 性格:比較的静か 好奇心旺盛 一人遊び可
- おしゃべり:なし
- 問題行動:自己羽毛破壊行動※羽根の異常についての詳細はコンパニオンバードの問題~1羽根の異常と対策~から
- 価格:通常価格の約4割安
一般に大型鳥のお迎え時期は、生後半年が良いとされていますが、私は1歳目前の子を実物を見ずに購入しました。
信頼しているお店からのご紹介だったのと、その価格の安さから何も考えずにいたので、外見の状態があまりよくないと知ったのは、お迎え時に初めて見た時です。
また、骨の変形(軽度の為、日常に支障はない)を知ったのは健診の時でした。
ただ、結果論ではありますが、私の場合、この状況がむしろ後のトレーニング状況を好転させたように思います。この件は、後ほど詳細をご紹介します。
本来生体を購入する時は、必ず実物を見てからにしましょう。
現在の状態(10月1日)
- 飼育期間:約5ヶ月(2024年10月1日現在)
- 健康状態・餌:食欲旺盛・ペレット/訓練時はひまわりの種 好き嫌いなし
- 羽根の状態:一部不良だが、換羽による新たな綺麗な羽根の生え変わりで飾り羽根は綺麗に。
- 懐け状態:体に触れる事は拒否(当初と変わらず)・他人の手から餌を食べる ・他人の腕に乗る
- 調教の進み具合:手乗り訓練/完了 ステップアップ訓練/毎日 ハーネス装着/可:散歩訓練中 適宜行動修正訓練 爪切り/可
- 絶叫:呼び鳴き/訓練中に不意に姿を消した時にあり(呼び鳴きの行動修正訓練中)
- 性格:比較的静か 臆病 好奇心旺盛 一人遊び可
- おしゃべり:9月から二言/「サファイア」「おはよう」
写真を見る限り、背中を撫でさせてくれるなどとても懐いているようにも見えます。
実は、鳥さんは自分のテリトリー以外では緊張や警戒が強い為、触れても拒絶する余裕すらありません。そのためトレーニングは、こうした状況を利用して行います。
状態の好転を実感
決して良好な環境で雛時代を過ごしていたとは思えない子でしたが、劣悪な状況はむしろその後のトレーニングに良い影響を与えたように思います。
元々自立心が備わっていた
この子は、お迎え後まもなく手乗り訓練をマスターし、お迎えから4か月でおしゃべりし始め、5ヶ月目でハーネスをつけて外へ散歩に行ったり、爪切りも出来るようになりました。
※ただ、雛から育てて行動修得させたわけではないので、ハーネスや爪切りは嫌がりますが、その事をもって私を嫌いになる事はないようです。
私がトレーニングを行う上で重要に感じる要素は、この子が自然に私との距離関係をとっていたことです。
この子のようにひとり餌になり、人間に対して距離間をもちつつ、人の手から餌を食べる事ができる、餌の好き嫌いがないなど、購入時から既に備わっていた性質があったからこそ、トレーニングが順調に進んだように思うのです。
確かに羽根の状態こそ悪かったのですが、その事はトレーニングに影響を与えるものではありませんでした。
羽根の状態は良い環境(ケージや餌(ペレット)、放鳥)に変えれば換羽によって綺麗になります。
それより、ひとりでできる事は多い方が良いという事です。
羽根の状態が悪かった事は、生体を引きとった時に、狭いケージに居たからだと伺っていました。
狭いケージ内でも鳥さんは動き回るので、ストレスハンガーマークがあるとその部分で折れる事があります。
また絶叫(呼び鳴き)の度合や懐け状態からは、その子の人への執着がわかりますが、この子の場合当初から呼び鳴きはほとんどありませんでしたし、手乗りにはなっていなかった事からも、あまり構われてはいなかったのではないかと思いました。
呼び鳴きの原因は過度の接触で、きっかけは飼い主の溺愛です。
そして助長させるのは、呼んだらすぐに飼い主が反応する事で「呼ばないで」と声をかける事も逆効果になります。
一方で玩具があれば齧って静かにひとり遊びし、手のひらに餌を乗せれば怖がる事もなく食べてくれましたので、自立心が備わっているようでした。
例え体に触れさせてはくれなくても、好物のひまわりで容易く気を引く事が出来る本当に手のかからない子でした。
購入から2週間後に始めた、最初のトレーニングである手乗り訓練も、2~3週間程度でマスターしましたし、獣医さんにも、『コンゴウインコは気難しい子が多い中で、この子はとても良い子』とお墨付きを頂きました(6月5日お迎え健診)。
栄養状態はペレットへ変更・サプリを併用。
この子は飼育環境は不良でしたが、人を怖がらない事から虐待の可能性はほぼないと思いました。
虐待の可能性が低いと思われるのは、購入前から人の手(特に手のひら)から餌を食べる事が出来ていたので、人に対する恐怖心はそもそもなかったと言えます。
栄養失調で骨の変形はありますが、挿し餌の時期はねり餌を手作りするので栄養バランスがあまり良くなかったのではないかと思いました。
生後6か月頃にはひとり餌になりますので、この時期にペレット(人工栄養食)に換えます。
ペレットにも栄養含有量がそれぞれ異なりますので、成長や状態に合わせたて換える必要があります。
若鳥は10種類のアミノ酸とグリシン、プロリンが必要と言われています。
また換羽期には、羽の元となるタンパク質、タンパク質を羽に変換するアミノ酸、ビタミンB7を多く与えると良いそうです。
通常羽根は、ストレスを除去できれば毎年の生え変わり(換羽)で、2年もすればきれいな状態になります。
行動修正トレーニングの基本
呼び癖に限らず、行動修正トレーニングの基本は、好ましくない反応に対しては決して反応せず、悪い行動は他の良い行動へ転嫁していく事です。
なので、お迎え前には放置されていたくらいなら問題はあまり深刻ではないのかもしれません。
ここで、放置されていた子をお迎えしても大丈夫なら、保護鳥もお迎えしてみようか、と思うかも知れません。
確かに保護鳥は価格も安いのですが、どのような経路で保護されたのかは慎重に吟味する必要があります。ただ、リハビリが効くのは、放置されていた子とも言われています。
虐待を受けていた子の場合、リハビリはかなり難しくなりますが、飼い主が忙しくてあまり構ってあげられなかった、ケージに押し込められて餌だけ与えられていた、というような放置された状態にあった子は、リハビリをすると好転する場合が多いのも事実です。
虐待されていた子、溺愛されていた子はいずれも手がかかると思った方が良いでしょう。
特に、人間不信にある状態の場合、リハビリやトレーニングは根気のいるものになりますので、保護鳥をお迎えをする場合には、施設の方によくご相談し、お迎え前に獣医師への診察も受ける事をお勧めします。
私のハルクインコンゴウインコも、ある意味お迎えによってリハビリが開始されたのと同等な扱いとなったように思います。
何故なら、放置されていた子を引き取る場合、リハビリで最も重要なのは、飼い主があらゆる手段を尽くして、今が幸せな環境なんだという事を教えていくことだからです。そうする事で多くの点で事態は好転して行きます。
具体的なトレーニング方法
信頼関係を確固たるものにする為にも、以下のトレーニングは入れて置く事をお勧めします。
ステップアップ訓練
ステップアップ訓練は、ケージから手へ、手から止まり木へ、手から手へと移る事ができるようする訓練です。
大事なのは、命じられたら必ず従うようにするくらい習慣化する事です。呼ばれた時、何かをしている時でも、その行動を中断して手に乗るくらいに訓練を入れるようにしなければなりません。
その為にも、毎日数分でも構いませんので必ずステップアップ訓練を行うようにしましょう。
ステップアップ訓練では好物の餌を使うと効果的ですが、次から次へ餌を催促して嘴でつつくような行為があれば、次第に噛んで催促するようになります。こそのような時は、手をゆするなどの矯正(あるいは行動修正トレーニング)をしていきます。
おしゃべりトレーニング
自然に言葉を覚える場合とは
鳥が言葉を覚えるのはリラックスした状態と言われています。
リラックスした状態は、その鳥の懐け(なつけ)度により異なりますが、家族団らんの時の会話や、ケージでひとりでいる時に聞く扉の締まる音や物音、動物の声などを覚えると言います。
一般にひとりになる時間に言葉を覚えようとするので、言葉を教え込むより、ケージにカバーをかけるなどしてひとりにする時間を設けると良いでしょう。
実際、サファイアが最初に発した言葉は、「おはよう」で、それから間もなく「サファイア」と言いました。お迎えからちょうど4月が経過した頃でした。
言葉をしゃべるのは何故か
鳥が言葉を発するのは、身体的欲求(食べ物、住居、環境)や社会的欲求(社会、自立、自信、繁殖)を満たそうとするためです。
サファイアは、「おはよう、サファイア」と言って私の気を引きます。この言葉は定着しておしゃべりできる言葉になりました。
おしゃべりトレーニングでは、状況と関係のない言葉を教え込むより、覚えて欲しい言葉を言い出すタイミング、話し方、言葉の内容を工夫、コントロールします。
サファイアの現在のおしゃべりトレーニングの課題は、自己紹介が出来るようになる事です。
最も効果的なのは外出
信頼関係を深めるのに最も効果的なのは外に行く事です。
訓練の基本は、ケージの見えない場所で行う事ですが、これは縄張り意識のある場所(ケージ内、ケージの見える場所、いつも同じ部屋での訓練)では、攻撃的になるからです。
所が、見知らぬ場所に連れ出すと途端に静かになり、頼れるのはあなただけと悟り、信頼関係を深める事ができます。
ハーネスを着用できるなら、外の世界を共に歩きます。
ハーネスを着用出来ないのであれば、キャリーケージなどに入れて一緒に外で過ごしたり、ドライブだけでも効果があると言われています。
ハーネス着用トレーニングの必要性
一般にハーネスの着用トレーニングは、雛で購入した時から行うのが良いとされています。
これは一定以上の年齢になると嫌がる為、着用するのはハードルが高くなるからです。
ハーネス訓練に限らず、保定や爪切り、キャリーケージに押し込める行為など、鳥がまだ慣れていない事をする場合には、強い抵抗や怯えた様子を見せます。
この様な場合に無理に行うのは良くないとされるのは、鳥がその行為自体を嫌いになるばかりか、飼い主をも嫌いになる恐れがある為です。
この様な場合に必要になるのが『慣らしトレーニング』です。
慣らしトレーニングの基本
爪切りや、ハーネスなどを初めて見せて鳥が後ずさり(威嚇やパニック含む)をするようなら、まずは見せた物を見えないように引っ込めます。
これを繰り返していくと、鳥は徐々にそれが恐怖する物ではないと認識し、次第に距離を詰めても大丈夫になります。
そして身体へ触れる場合も、同じように嫌がれば止め、こうした事を繰り返しながら触れられる時間が長くなるようにし、鳥の自主性を培っていきます。
ハーネス着用トレーニングは不要?!
サファイアは、8月頃(購入から4か月目)には基本的なトレーニングを済ませていたので、残された課題は信頼関係を構築する為に外出をすることでした。
その為にもハーネス着用が必須でしたが、未だ私が身体や脚を撫でるような行為を嫌がりましたので、当初、ハーネス着用は基本に則って慣らしトレーニングを行っていました。
コンゴウインコに本気噛みされたら皮膚をえぐられるのは間違いありません。私自身、この時期にあってもその恐怖を払拭する事ができず、強引にハーネスをつける事も考えられなかったのです。
一方で、自主性を待っていたらいつ外出できるようになるのか見当もつかず、慣らしトレーニングには疑問がありました。
私の心境の変化
私の心境に大きな変化が現れたのは、9月下旬、おしゃべりを始めた頃からです。
おしゃべりするのは心身がリラックスした状態と思っていましたので、まだまだ先の事と勝手に思っていたのですが、「サファイア」「おはよう」と頻繁に言うようになった事で、私が思うよりこの子は私に懐いているのではないか、そう思えたのです。
ハーネスをつけても、ひょっとしたら噛みつく事はないのではないかと思ったのです。
そして、もっと彼を信じてみようと自然に思いました。
また、それ以上に、もし今、サファイアの身に危険が迫れば、守ってあげられるのは私だけ、という明白な使命感を持てたのもこの頃です。
その私が噛まれることを恐れて体に触れることさえできないのであれば、彼を守る事は到底不可能だと思うと、例え噛まれる事があっても良いと、自然に覚悟をする事が出来ました。
そして、10月1日、普段使用しない部屋でハーネス(かぶるタイプ)を着用させたところ、嫌がりはしましたが、噛みつく事は一切なく着用する事が出来たのです。
言葉で説得しながら、身体を傷めないように気を付けながら、約9分で着用でき、そのあっさりさに自分が一番驚きました。
10月19日現在、ハーネスを着用しての外出は5回ですが、着用に要した時間は3回目が一番長く約20分でしたが、4回目は5分未満、5回めは3分ほどで着用できるようになりました。
信頼関係を構築する上で最も重要なことは、まずは相手を信頼する事、それ以外の何ものでもないようですね。
互いが信頼し合うとは
ステップアップ訓練やおしゃべりができ、玩具づくりをしていればケージから降りて私の傍でいたずらをするサファイア。
そしてハーネスを着用して外出する事が出来るようになったサファイアでしたが、未だ叶わないたった一つの事がありました。
それは、意味もなく体を撫でさせてほしいという私の願いです。
ただ、8月にバードトレーニングを受けた際、鳥さんは意外にも身体に触れることを嫌がるのは普通だとわかりましたし、9月下旬におしゃべりを出来るようになった事で、これ以上を望むのはやめようと、心の準備が整ったのもこの頃でした。
特別な状況下では私に依存
サファイアは、今まで全く背中を撫でさせてくれなかったわけではなく、特別な状況下では身体に触れる事をゆるしてくれていました。
- 大量の好物を目の前にしたとき:私の膝の上で好物のひまわりを片手一杯に与えると、夢中になって食べるので、背中を撫でさせてくれていました。ただ、食べ終わると、私が背中を撫でられないように、左腕に乗ります(本当に賢い!!)。
- 病院や縄張り以外の見知らぬ場所、外出先:縄張り以外では不安が強い為、抱き占める事も出来ました。
初めて信頼されたと実感した日は外出4回目
10月1日:外出1回目は変化なし
近所を小一時間散策しました。散策中大きな声を2~3回出しましたが、それ以外大きな変化はありませんでした。
10月4日:外出2回目も変化なし
散策を小一時間しました。特に変化はありませんでした。
初回、2回目は外ではひまわりの種も食べられないほど、緊張の連続だったようです。体を守りながらの散歩でした。
10月12日:外出3回目は車で移動も変化なし
外出3回目は、ハーネスをつけてキャリーケージに入れて車で5分ほどの公園に行って車移動の練習です。
その前に、近所での散策(20~30分)をしていたのと、園内では色んな人に話しかけらるなど、連れ回されて疲れたのか、散歩から間もなく絶叫し始めたので、10~15分ほどで公園を後にしました。
この日(3回目)までは散歩の翌日は、ステップアップ訓練は乗り気ではないようでしたので、訓練はお休みし、ひとり遊びをさせていました。
その次の日はいつも通りステップアップ訓練をしてくれます。
他人からすれば本当によく懐いているように見えるのですが、家に帰れば意味なく背中を撫でようとすると、嘴でつついて嫌がる事に変わりはありませんでした。
そのような時は、私はあまり身体は撫でないようにしていました。
10月15日:外出4回目が関係の転機に
以前より、病院に行く場合など車で移動するときはキャリーケージに入れていました(これがでかい!!)。
ハーネスをつけられなかった頃は、部屋でキャリーケージに入れ(押し込め)てから車にキャリーごと乗せていました(実に重い)が、ハーネスを着用できるようになった事で、重いキャリーを車に乗せてから入れる事が可能になりました。
ただ、キャリーに乗せると乗降の際にはトップに移動して車の奥にいこうとするので、この日は助手席に乗せて5分ほどの車移動をしました。
※後日ペット用のドライブシートを購入
偶然にも助手席に乗せた事が大きな転機となったように思います。
この日は公園2回目でしたが、散歩中に絶叫する事もなく、40分くらい散歩を楽しめました。
慣れてきた事で、外でひまわりの種も食られるようになりました。
前回までは、翌日のステップアップ訓練は乗り気ではなかったので休みがちでしたが、この日の翌日は、きちんとステップアップ訓練をしてくれたのです。
私はホッとしてケージから出して腕に乗っているサファイアの背中を右手で撫でたところ、何と嫌がる事なく触れさせてくれたのです。
実は、この時は嬉しさはありましたが、たまたまだったのではないかと半信半疑でした。
ですが、その翌日のステップアップ訓練でもケージから出して右手で背中を撫でたところ、もはや嫌がる事はありませんでした。
背中や頭を撫でさせてくれるようになり、この日私は、ようやく信頼関係を実感する事が出来るようになったのです。
最後に
この記事が、ペットとの関係構築で悩んでおられる方の参考になれば幸いです。最後までお付き合い頂きありがとうございました。
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