ハリスホークのフライト訓練~減量期と増量期~

減量期と増量期とは

猛禽類のフライト訓練では欠かせない減量ですが、フライトは単に減量を行えば良くなるものではないようです。

そこで今回は、最も良いフライトをするのはどのようなタイミングなのか、について記事をまとめる事にしました。

体重管理の複雑さ

2026年のフライトフェスタ~ハリスホークアジリティ部門~に出場するため、2025年の12月からポイント別に訓練を重ねてきました。

これまでは無理な減量はしないように心がけ、感覚的に行ってきたフライトトレーニングでしたが、レースに向けてフライト日誌をつけ、詳細なデータを取って分析や振り返りをしたことで、これまでの疑問の答えが見つかったように思います。

フライングウェイトなのに飛ばない

一番の疑問は、フライングウェイトなのにコントロールが効く時と効かない時があるのは何故か、という事でした。

このことは単に、減量が足りないというだけが原因ではないような気がしていました。

何故なら、天雅の場合(♂3歳)、610g(88~89%)でも餌を食べなかったり、反応が今一な事があるのですが、コントロールが効くときは635g(93~94%)以上でも小さい餌に反応して高所から飛んで来てくれるからです。

体重管理には減量期と増量期がある

今回データを取ったことで、訓練をする為に最も下げた時の体重よりも、訓練を開始して数日経過した増量期にある方が、餌への反応が数段良くなると言う事が分かりました。

このことから私が感じたのは、良いフライトコンディションが得られるのは、決して体重を下げ切った時ではないという事です。

フライングウェイトとは

ハリスホークのフライトでは、フリーでのコントロールが可能な体重というのがありますが、これがフライングウェイトで、『飛ばせる体重』です。

体重と訓練場所の関係

  • ミュウウェイト:オーナーの家の中、鷹部屋(ハウス)で適した体重…フルウェイト(丸)に近い体重
  • フライティングウェイト:普段の訓練場所・慣れている場所(ホーム)で適した体重(90%以上
  • ハンティングウェイト:初めて行く場所・慣れていない場所・訓練開始時(アウェイ)で適した体重(85~90%前後

ハリスホークは人に懐く為、丸(フルウェイト)に近い状態でもコントロールが効くとも言われているのを知り、今までは、体重を下げ過ぎず90%~93%くらいで飛ばすようにしていました。

ただ今回、レースに向けて詳細なデータ(①体重の推移 ②肉色の状態 ③減量時の給餌量とフンの性状 ④餌に対する身体の反応(速度) ⑤鳴き声(鳴き方) ⑥顔の表情 ⑦皮膚の性状)が取れたことで、100%としていた体重の値を見直す事にしました(後述)。

体重の算出方法

フライングウェイトの決め方は、鳥屋入りによって体重が丸(フルウェイト)になったらそれを100%として算出します。

鳥屋入りは6月下旬ころと言われていますので、そのころから栄養を十分に摂れるよう、ウズラをほぼ毎日1羽与え、鳥屋明けの訓練開始直前(8月下旬)までで最も多い時の体重から約10g引いた値を100%としていました。

天雅の場合は、2025年の最高値は710gでしたが、その数値は数回確認したのみでした。

690g以上になると、餌をもらっても確保だけして食べなかった事も見受けられましたので、100%の設定を690gとしていました。

※ただ、これは多すぎた為、2026年2月以降に680gに訂正しました。

減量期のフライングウェイト

実は私は鳥屋明けに訓練を開始し、フライングウェイトの620g(90%)まで減量すれば自然に餌への反応は上がるものと信じて疑いませんでした。

ですが、鳥屋明けによる減量では、それよりもはるかに軽い590g前後(86%)まで減量をしても一向に餌への反応は上がらず、昨日よりはマシという程度にしか訓練が進められなかったのです。

これが減量期です

増量期のフライングウェイト

普段は高めに維持している肉色でしたが、この頃(86%)になると肉色当てをしてもやや低目かなと認識できる感触になりました。

そこで、これ以上の減量は私には(自信がないため)無理と判断して、610g(89%)以上を維持できるように体重を増やして、630g前後で訓練を継続していました。

9月中旬に、638g辺りでも高所からの呼び戻しが問題ないと思えた時、減量を開始して2~3週間後に610gまで下げ、その3日後に621g(90%)でフリーにしました。

11月から12月のフライトフェスタ用の訓練を始める直前まで620g~630gで飛ばしていました。

2月現在までのデータも併せて振り返り、餌への反応が良くなったたと感じたのは、体重が最も低い時ではなくしばらく飛んでから(2~数日後)のフライングウェイト(610g以上)になった時でした。

これが増量期です。

反応が良いのは減量期よりも増量期

ここでは鳥屋中に十分な給餌(これ以上食べる事が出来ないと言うレベルまで餌を与え、真夏の訓練を避けていた場合)を得られた個体について、そこからの減量期と、増量期についての比較をしました。

  • 減量期:フル体重から訓練開始時まで下げる期間(~85%)
  • 増量期:訓練を開始してフライトしながら体重が増えていく期間(85%~)

フライトコンディションが格段に良かったのは、同じフライングウェイト(90%~95%)でも減量期ではなく、増量期でした。

飼育を始めてから今日まで、フライングウェイトでも反応が良い時と全く反応してくれないことがあるのがずっと疑問でしたが、ここへ来てようやく理由が分かり、すっきりしました。

体重管理と肉色当て

初心者の場合、肉色当てだけでフライトコンディションを判断するのは困難な為、体重測定と併用する事が勧められます。

体重管理と肉色当てを併用

体重管理には以下の3つの区分がある事は、ハリスホークの初期トレーニング~体重と場所の関係~でもご紹介していました。※(カッコ内は目安です)

  • ミュウウェイト:詰めずに飼っている時の体重(フルウェイト)
  • フライングウェイト:飛ばせる体重(90%以上)
  • ハンティングウェイト:狩りが出来る体重(85~90%)

肉色当てをせずに数値にのみこだわるのが良くないと言われているのは、徐々に落ちていた数値(体重)が、ある日急激に落ちてしまうタイミングがあるからです。

体重を下げても飛ばない理由の一つに、胸筋が下がり過ぎているという事があります。つまり、飛ばないのではなく飛べないのです。

これは、減量していても餌への反応が悪いからと闇雲に減量を継続した結果に起こります。

減量(脂肪の燃焼)を継続すると、ある時急激な体重の減少が起こります。この時に餌を与えず、更なる減量(筋肉を消費)を行えば、もはや筋肉が使い果たされ水分が少ない尿が出ます(80%以下)。

フライトには力がなく、ひらひらとした蝶のような羽ばたきとなり、飛んでもすぐに落ちてしまう場合がこの状態で、手遅れになる手前(もはや手遅れとも)と言えます。

こうなったら早急に、病院にかかる事をお勧めします。

自然界では弱った動物が真っ先に天敵に狙われる為、弱ったところを見せないという本能が備わっています。その為、昨日まで元気だったのに翌日亡くなっていたという事も珍しくはないそうです。

訓練開始時の体重は85%~90%

後から分かった事でしたが、訓練開始時の体重は、90%~85%と言われています。

体重がマックスになっている時は体内にも十分なエネルギー源(脂肪や筋肉)がある為、減量期ではたとえフライングウェイトであっても、極端に戻りは悪くなっています。

その為、85%まで体重を下げたにも関わらずフライトの反応が悪かったとしてもすでに筋力が消費されている筈(肉色の低下)ですので、それ以上の減量は避け、一旦餌を少し増やしてみるのが良いかと思います。

85%以下では健康被害が出る恐れ

健康被害が出る恐れがあると言われるのは85%以下です。

なのである程度体重を落として反応が悪く、肉色が低いと感じるのであれば、増量へ転じるのが良いでしょう。

一旦飢えた状態(85%)にしておくと、その日は例え反応が悪くても少しづつ食が付き、数日後にはもっと食べたいという状態になり、各段に反応が上がるからです。

減量は数値に比例して効果を得られるものではなく、タイムラグがある為、85%~80%に下げるなど無理な減量を継続する事は、反って肉色を落とす事になり、もはや翼を動かす筋力さえも消失させる恐れがあります。

減量期こそ、フライトをまめにして飛翔の力強さを確認しておくと良いと思いました。

天雅のフライングウェイトの修正

天雅(♂3歳)の2025年の換羽期のフル体重は、最高時で700g前後でしたので、これを基準にフライト管理をする事にして、100%を690gに設定していました。

この場合、天雅のフライングウェイトは637g~627g(90%)以上という事になりますので、常に625g~630g台(90%~93%)で飛ばすようにしていたのです。

肉色当てでは常に高めでしたが、90%以下にするのは負担がかかりそうで好ましくないと思った事、また遠くに行ってしまってもルアーでの回収が出来る為問題はないと認識していました。

ですが、今回レースに向けた訓練において、上記の範囲ではコントロールが効いているとは到底言えず、飼育4年(2026年2月)にして初めて基準値の修正を行う事にしました。

修正はあらゆる角度から観察を行い、極端な数値の訂正は避ける事にしました。

フルウェイト(100%)の考え方を修正

フルウェイトは、鳥屋時のマックスの体重で、基本的にはこれ以上食べられないと言う体重になるそうです。

天雅の場合は690g~700gでは餌を食べない事もありましたので、100%を690gとして考えていました。

ですが、実際には100%の設定は、20g~数十g前後下げても良いようです。

ただ、単に体重の数値だけでは適度に割り出せるものではないようですので、やはり肉色当てが肝心になります。

今回は、肉色当てに加え、様々な角度(特にふんの性状と餌鳴き)から考察した結果、100%の設定値を680gに修正してフライトを継続するつもりですが、これも恐らくは高めの設定になるとは思います。

ですが、初心者の場合は肉色当てが難しいこともありますので、基本は高めの肉色を意識していけば良いかと思います。

フライトコンディションは飛ばすのが一番

減量期でも増量期でも、体重管理はフライトをさせるのが一番のようです。

飼育間もないのであれば、3年間、最低でも換羽期(6月末~)とシーズン中(~3月)の記録をしておくと、フリーフライトした時に苦労せずに済むと思います。

観察項目

  1. 肉色の状態:(高い・やや高い・適度・やや低い・低い)
  2. 体重の推移:↑(反応が上がり始めている)・反応が悪い・良好
  3. 減量時の給餌量:種類と量(g)
  4. フンの性状:茶(不肖化)・緑(消化しきっている)・白(水分)多い・白少ない(脱水状態で危険)
  5. 餌に対する身体の反応(速度):20秒以下ならOK・できればすぐ反応
  6. 餌鳴きの声(鳴き方):ピィピィ・ギエッギエ(より空腹が強い)
  7. 顔の表情:餌を見すえている(フライトが準備できている証)
  8. 皮膚(足)・口腔の性状:乾燥の有無・口腔内がねばついている時は脱水状態であり危険
  9. 羽根の状態ストレスハンガーマークの有無

主な観察項目を上げておきますので参考になれば幸いです。

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