鷹(ハリスホーク)をロストしたら

鷹匠になるには  鷹匠

ロストをしたら

ロストとは、鷹を見失ってしまった場合のことを言います。

前回投稿した鷹のフライトトレーニング~ロスト防止が最重要課題~では、ロストをしない為には、日々のトレーニングをどうしたらよいかを記事にまとめました。

今回は、既にロストをしてしまった場合にはどうしたら良いか、実体験を交えてご紹介いたします。

フリーフライト中のロスト

まずは、飛んで行った方角が分かれば、その方向を中心に周囲を探します。これしかありません。

ただし、その個体のコンディションや、天候によって探す場所は異なります。つまりロストの原因によって探す場所が異なるのです

ロストの原因で探す場所が異なる

ロストしやすいのは、肉色が高い(体重が重すぎる)とき、肉色が低すぎる(体重が軽すぎる)とき、強風に煽られたときです。

  • 肉色が高い(体重が重い):肉色が高すぎると高所にとどまり餌を見せてもルアーを振っても戻りが悪くなります。
  • 肉色が低すぎる(体重が少なすぎる):狩りを始めてどんどん飛んでいく可能性があります。最も見つけにくくなります。
  • 強風にあおられた:鷹は気流に乗って飛翔するので、風下に流されている可能性があります。

このうち最も危険なのは肉色が低すぎる場合です。日々の肉色当てを迷ったら、高めの肉色を意識することです。

肉色が高い(体重が重い)、給餌直後のロスト

餌が十分与えられていて、肉色が高い(体重が重い)が為にロストした場合には、高所にとどまることが多いようです。

高い建物、特に電線に止まることが多いので、ロストしたであろう場所の周辺、半径500m以内を探してみましょう。

空腹状態を作れていれば、見つかりさえすれば、餌を見せれば戻せます。

給餌後で満腹の場合はお腹がすくのを待ち続けるしかありません。

方角が分かる場合

方角がわかるのであれば、その方向をたどって高い場所を探しましょう。

実際の体験1:換羽期の訓練中にロスト

ロストは、必ず使役者側に問題があります。

換羽期の肉色の高い状態で、前日の給餌から24時間以上たっていた訓練の時でした。

朝10時にロストしましたが、方角が分かっていたのですぐに電線に止まっているのを見つける事ができました。

ですが、ルアーに反応せず、度々周囲の電線を移動して行きました。

その都度追いかけて見失わないように下で待機していましたが、結局回収できたのは、翌日の朝5時です。

最後は、ルアーに反応して回収できました。

回収が遅れれば遅れるほど、狩りを始めてしまうので、とにかく見つけることが最優先です。

肉色が低い(体重が低すぎる)場合のロスト

ロストをしやすいのは肉色が高い場合だけでなく、低すぎる場合(体重がマックスの85%以下)にも起こります。

実はこの場合、狩りを始めて(獲物を追いかけて)どんどん遠くに行く可能性がありますので、回収が困難になる事が予想されます。

とにかく見つけることですが、鷹は高いところを好みますので、先ほどと同じように高い場所を探します。

肉色当てに迷ったら高めの肉色が基本

日々の訓練で餌への反応が悪いと体重を落としたくなりますが、まずは、慣れた環境で餌への反応が上がるように訓練を入れなおしましょう。

強風に煽られた場合のロスト

鷹は気流に乗って飛翔するので、風下を探してみましょう。

普段から練習しているときに、どのような場所に行ってしまうか把握してその周辺を探すようにします。

ひも付きの状態でロストをしたら

ひも付き(クリアンス)やリーシュがついた状態でロストをした場合、建物や木の枝にひっかかり身動きが取れない状態になっている可能性が生じます。

そのため、一刻も早く見つけ出さなければなりません。

普段練習している場所をくまなく探しましょう。

実際の体験2:管理された建物にひもが引っかかる

管理されている建物に引っかかっているなら、建物の管理者が記載されていると思いますので、速やかに連絡をするようにします。

下の画像は、ひも付き訓練の際に強風に煽られて高い建物で紐がひっかかり、身動きが取れなくなったときのものです。

当時は私はパニックになったものですが、まずは購入店の鷹匠に連絡を取りすぐに電話対応してくださりました。

鷹匠の指示の下、まずはどのような状態か写真を送ってほしいと言う事で写真を撮りました。

この建物は市で管理する水道関連の物でしたので、そこへ連絡をするようにとの助言を受け電話をし、職員の方が約20分後には救助に来てくださいました。

鷹匠になるには フライト訓練 

紐がひっかかりながら、この後足場を見つけ姿勢保持

ペットとしての鷹の所有は、許可不要

ペットとして所有する鷹の場合、特に許可はいらないのですが、私はお迎え直後に市役所に電話して、河川敷でひも付きの訓練をしても良いか確認をし、問題ないとのご返答を頂いていました。

また、河川敷利用者から苦情があればすぐに連絡を頂けるように、連絡先もお伝えしてありましたので、そのせいか、救助に来てくくださった職員さんから、怒られることもありませんでした。

むしろご心配いただいたという経緯もありますので、今振り返っても感謝しかありません。

SNSの投稿や警察への届出は慎重に

SNSでの捜索協力の投稿や警察への届出は最終手段にすることをお勧めします。

これは、連れ去りの可能性が生じるからです。

警察に届けると、遺失物取り扱いで受理はされますが、周辺住民への注意喚起のため放送や、メール配信がなされます。

SNSを含め、そうした情報を得た者の中には取得目的でわざわざ探し出し連れ去る者があるそうです。

そのような事になるともはや戻ってくることはありません。

実際の体験3:係留中のロストで警察に届出

私が鷹をロストした状況は、お迎えから約9か月後、まだフリーにできない9月の下旬頃でした。

室内飼育のため掃除でベランダに稽留をしていたのです。

肉色は高めの状態で、給餌は前日の24時間前です。

実は繫留の際に不適切な装具を使用していた為、買い替えを考えていた矢先に装具が外れ、気づいたらいなくなっていたのです。

フリーフライトでに呼び戻しをしたことのない私には、ロストをすると回収が難しい状況でした。

更に不運だったのは、仕事に行かなければならず、どうしても探しに行く事が出来なかった事です。

鷹匠に連絡をしたのですが、この時は連絡が取れず、小一時間ほどは自力で周辺を探しはしましたが、やむなく警察に連絡をする事にしました。

警察へ通報した理由

通報をした理由は、鷹を見た人が驚いたり、子どもたちがむやみに近寄り危害を加えられたりしてはいけないと思ったからです。

警察の対応は、まずは、①飼育状況の確認の為自宅に訪問 と、②以前に鷹が子供を傷つけた事がある為、地域住民に注意喚起の為にメールや放送を入れる と言うものでした。

勿論それに従い、それから仕事に行き、師匠に連絡が取れたのはたのは、ロストから8時間ほど経過してからでした。

鷹匠にラインで、警察の注意喚起の為のメールや市のSNSなどの投稿画面を見せたところ、「SNSで情報提供はあるが、返って情報が錯綜する事がある事や、連れ去りの危険がある事」などの助言をいただきました。

仕事を終え、翌日10時から普段の訓練場所周辺の捜索を開始しました。

ほどなくして警察から目撃情報があったとの連絡がありました。この時パトカーで現場に向かうとの事でしたので、出動は辞退したのですが、サイレンはないものの、パトカーで現場に向かってくださいました。

目撃はいつも訓練をしていた河川敷周辺です。

私もその方面を中心に名前を呼んで探し続けました。これは普段、名前を呼んで呼び戻しをしていたからです。

当時はルアー訓練が出来ていなかったのですが、餌合子は入れていました。なので名前の他、餌合子を鳴らしながら歩き続けていました。

その間も、師匠が心配してラインで状況の確認を継続してくれていました。

ただ私自身、訓練が未熟であることを思うと、もう見つける事などできないとあきらめ始めていました。おそらく鷹匠も見つからないと思っていたと思います。

探しながら涙が止まらず下を向いて歩いていた15時頃、いつも訓練に行く道すがら、歩道の手すりに、「クークー」鳴いている声が聞こえてきたのです。

顔を上げると、目の前に私の愛鳥が手すりに留まって「クークー」と鳴いて私を見つめているではありませんか。

その様子から、彼が私を見つけて目の前に下りてきてくれたようです。

また彼自身も、私を見てほっとしたような顔に見えました

ハリスホークは空飛ぶ犬とも呼ばれる

ハリスホークが『空飛ぶ犬』と称されるのがよく分かりましたし、後から知った事ですが、訓練もまた愛情でまかなえる、と言われるほど、人に懐く生き物なのだそうです。

ともあれ、怪我もなく無事に回収する事が出来た喜びは、今でも忘れられません。

すぐに警察の方や師匠へ連絡し、保護出来た事をお伝えし、事態を収拾する事が出来ました。

後から知り合いから聞いたのですが、市のSNSは私自身が住む市内だけでなく、その周辺一帯の自治体にまで及んだそうです。ちなみに友人は私の鷹ではないかと、気づいたそうです。

この経験では多くの善良な方がご協力下さいました。なので、警察やSNSの利用は最終手段としてはよいかと思いますが、探す時間がある方は、まずは、周辺の高所をくまなく探すと良いでしょう。

また、回収の確実な一手になるのはルアーです。なので早いうちにルアー訓練を入れておきましょう。

※後日ルアーの入れ方をYouTubeでご紹介いたします。

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