後追い訓練とは
ハリスホークの後追い訓練とは、木から木へと移動させ、使役者の後を追わせる訓練の事を言い、フリーフライトにしたら最初に行うべき訓練です。
実は、私は最初の2年間を間違った訓練方法でハリスホークの調教(もはや調教とは到底言えないですが)をしていた為、3年目の鳥屋明けからは、自分自身の問題行動を修正するために、再調教をしています。
皆さんが私のような失敗をしない為にも、迷ったら常に基本のトレーニングに戻って段階的に進むようにしてください。
後追い訓練の目的は2つ
フリーフライトをできるようになったら、使役者の後を追わせる『後追い』という訓練を行います。
人によっては勝手に狩りを始める恐れがあることからしない方が良いという見解もあるそうですが、後追い訓練は、可能な限り入れることをお勧めします。
それには2つの目的があるからです。
筋力アップ
まずは一つ目ですが、筋力アップの為に行います。
フリーにしたばかりのハリスはまだ筋力が十分ではない為、筋力アップの運動として欠かせない、という見解の方が多いそうです。
特に、2月から3月にかけての強風は、ハリスホークが流されやすい時期でもあり脆弱な筋肉(筋力)ではロストの危険も高まります。
なお、筋力アップトレーニングは、鳥屋明けやひも付き訓練の頃からしておくことをお勧めします。
自由な行動を許さない
これは私の訓練の未熟さから実感した事ですが、後追い訓練をしない(あるいは誤った方法でする)と、餌欲しさに勝手に遠くの人工物に飛ぼうとする傾向があります(後述)。
ハリスは人に懐くとも言われており、餌欲しさについてくる習性は確かにありますが、使役者の指示が入らないまま勝手に飛んで、呼び戻しを繰り返すと、こうした悪い癖が定着してしまいます。
なので、悪い癖がつく前に適切な訓練方法で、使役者の後を適切な距離でついてくるようにトレーニングします。
ハリスが後追いできる理由とは
群れで暮らすハリスホークゆえの性質が、後追いできる最大の理由です。何故なら、群れからおいていかれまいと必死に使役者の後を追ってくるからです。
つまり、ハリスにおいては後追いが上手く行かない場合、使役者との信頼関係の構築もしくは、これまでの訓練方法が上手く行っていない可能性があります。
訓練の基本は、出来た行動を繰り返し行う事で体に定着させること、つまり条件反射的に反応して初めて訓練が上手く行っていると判断できます。
最終目標

空中でのルアーキャッチ
後追い訓練での最終目標は、姿が見えない高い枝に止まったら、ルアーを振って空中でキャッチをさせる事です。
初めのうちの後追いは、適切な距離を保ちつつ木から木へと飛びながら使役者の後(あるいは前)をついてくるようにすることですが、最終的には高い木の枝に止まらせ、ルアーで回収をします。
この流れは鷹狩に準ずるものですが、普段の回収手段としても一連の流れはできるようにしておくと良いと思います。
後追い訓練の手順
紐付き訓練では『スモールステップス(質の異なる訓練)』によって段階的に飛べるようにしましたが、ここでも段階を踏んで指示が入るようにします。
木の低い枝に乗せる

12/21 木の低い枝に乗せる
低い位置の木の枝にのせます。この時距離を持たせると高い場所に行くことがありますので、まずは枝に近づけて飛び移るようにします。
ハリスを背に数ーメートル歩み去る
最初はいなくなるのではないかと不安かもしれませんが相棒を信じて、使役者はハリスホークを背に数メートル歩いていきます。
餌を使って呼び戻す
数メートル歩いた後、餌を使ってグローブに呼び戻し、食べ終わるのを待ちます。
身近な低い枝に送る
餌を完全に食べ終えたら、近くにある木の低い枝に乗るように送り出します。
枝の傍に振れば、その枝に止まります。
2回目は少し遠くに歩み去る
次は、使役者は先ほどよりも少し遠くに歩み去ります。適度な空腹が作れていれば、ここで使役者の近くの木の枝に追ってくると思います。
追ってこなければ餌と掛け声を使って呼び戻します。
後追いトレーニングでの注意
ハリスホークに悪い癖がつくときは、使役者の不適切なトレーニング方法ですので、トレーニングは一つ一つ丁寧に行うように心がけます。
地面に着地した場合
地面に着地した場合には無視して歩を進めるか、餌を使わないでグローブに据え上げ、近くの枝に止まらせます。
これは、着地した時に餌で呼び戻しをすると、餌をもらうために着地を繰り返すようになるからです。
後追いしない
初めのうちは、使役者が一枝ごとに餌をつかって飛び移らせるかもしれません。
ですが、ハリスは後追い訓練で回数を重ねるごとに、餌をもらえる事を学び、今度は歩み去る使役者を通りこして、使役者の前方にある枝に止まるようになります。
後追いが定着するまでは、その都度餌を与えるようにします。
場所を変える
ハリスの習性から慣れた場所では警戒心が解かれているため、フライトしやすい(遠くに行きやすい)状態になっています。
なので、初めての場所などに環境を変えて(使役者に依存する環境を作って)ハンティングウェイトで、後追いトレーニングをしてみても良いでしょう。
ただし、この場合、強風やアクシデントなどで予想外の事態が起こるととロストする恐れがある為、現状を十分に把握したうえで、トレーニングをする事をお勧めします。
高い枝に止まったらルアーキャッチ

空中キャッチは自然にできるように
順調に訓練が進めばすぐに高い枝に止まるようになります。
そうしたらルアーを振って空中でキャッチが出来るように仕向けます。投げるタイミング見計らって取りやすい位置(高い方が良い)に振り上げると、自然に空中でキャッチをします。
もしキャッチが8割以下しかできないのであれば、ルアーを怖がっているかもしれませんので、小さいものや羽根つきの物に変えてみましょう。
ただルアーで重要なのは、まずは、笛を吹いたら(合図したら)すぐに反応することです。
もし空中キャットに失敗しても、合図によってちゃんと飛んできたなら、必ずルアーの餌を最後まで食べさせ据え上げます。
筋力アップとして7日間
後追い訓練は、体力づくりの筋力アップとして7日間位行い、次の段階に進みます。
一般にこの後のトレーニングは生餌を使ったものや、鷹狩になります。
これらをしない場合には、フリーフライトでの呼び戻しやルアー訓練での空中キャッチなど、より反応を上げる為に振り返りなどを行うと良いと思います。
また、レースに出る事も新たな課題に取り組む機会になり、ステップアップにつながりますし、何より触れ合う時間が増える事は、間違いなく、相棒との信頼関係を深めることに役立ちます。




コメント