インコ・オウムの行動修正トレーニング

コンパニオンバード トレーニング インコ・オウム
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行動修正トレーニングとは

動物の行動修正トレーニングでは、ある問題行動があった時にそれをしないように訓練をするのではなく、別の良い行動へと変換していく訓練の事を言います。

こうしたトレーニングはインコやオウムに限る事ではないようです。

この記事では、インコやオウムの問題行動について、特に修正トレーニングをした方が良い問題行動と、そもそも何故、問題行動をしてしまうのかを考え、変換すべき良い行動についてご紹介したいと思います。

問題行動のとらえ方

インコやオウム類などのコンパニオウンバードは、社会性を身に付ければ素晴らしいパートナーになりますが、一方で適切な時期に適切なしつけやトレーニングを怠ると、取り返しのつかない問題行動を起こすことがあります。

もともとは本能に基づく行動

動物の行う行動で、人間にとっては問題行動であっても、彼らにとっては問題行動とは言えない場合があります。

例えば「齧る」という行為ですが、我々が問題にするのは、齧って欲しくない物を齧るときではないでしょうか。

ですが、彼らにとってはかじる事でそれが安全かどうか判断をしたり、危険を避けたり、好きな人への愛情表現ですらあります

その為、かじる事を止めさせる事はほぼ不可能ですし、本能である以上無理に止めさせる事も不適切です。

ただ、これを放置していくと確かに行動はエスカレートして取り返しのつかない問題行動に発展するのも事実です。

最悪の場合は他人を傷つける恐れです。

問題行動の種類

動物の問題行動では大きく分けると、飼い主へしてほしいという意思表示によるものと、何等かのストレスに晒されて引き起こされているものに分けられます。

意思表示による問題行動と原因

呼び鳴き・絶叫は、飼い主さんを呼ぶ行動に他なりません。

呼び鳴きの多くは、雛のうちに甘やかして、適切な時期に一人餌が出来なかったり、一人遊びが出来ない場合に移行すると言われています。

朝夕の絶叫や雄叫びが定着するのも、最初の頃に止めさせようと飼い主が対応(注意する・笑う・話しかけるなど)することで、エスカレートした結果です。

つまり問題の根源は、飼い主との不適切な関係性にあります。

ストレスによる問題行動と原因

毛引きや羽齧りは特徴的で、人間の飼育下のみで起こり、くちばしの届く範囲で脱毛が見られます。

ストレスによる場合、考えられる原因は多く、退屈(おもちゃ不足)、環境、飼い主との相性、生活リズムなど多岐にわたりますし、個体別に判断しなければなりません。

ただ、初期に退屈を持て余して羽繕いにふり、それが過剰羽繕へと移行し毛引きを誘発し、これを放置すると、いつしか毛引きに快感を覚えることで完治が困難になるとも言われています。

過剰羽繕いは、本来体表(飾り羽)では見られない筈のフワフワした羽根(綿毛)が頻繁に現れる為分かりますので、この時期に適切な対応が必要になります。

コンパニオンバード 問題行動と対策 羽根破壊行為

2024年6月(1歳)お迎え後1か月半。      過剰羽繕いと羽齧り

最も厄介な問題行動でもありますので、対策としては羽繕いにふける時間を与えないことになります。

この問題については、インコの羽根の異常と対策で詳細にご紹介していますので、ここでは割愛します。

何故修正するのか

問題行動を放置すると、それは必ずエスカレートして定着します(前述)。

毛引きによる皮膚のダメージや、血管が通っている羽軸の部分で損傷があれば感染症を引きおこすこともあるかもしれません。

また、場所と時間を選ばない呼び鳴き・雄叫びは近隣からのクレームを招き、飼育困難へと移行します。

お迎えから2年以内に手放す羽目になる最も多い理由こそ、呼び鳴き・絶叫だそうです。

問題行動は定着する前に対処を

今回は、ストレス性ではなく、意思表示(飼い主との不適切な関係性)がもたらしていると考えられる問題行動についての行動修正トレーニングになります。

もちろん、問題を発見してからトレーニングを行う事は可能ですが、基本的にはラブバード・コンパニオンバードをお迎えしたら、早期に社会性を身に付け(させ)、飼い主との良好な信頼関係を構築するように、最小限のしつけやトレーニングを入れる事をお勧めします。

大型の鳥と信頼関係を築くには

行動修正に年齢は関係ない

しつけやトレーニングは、繁殖期に入る前に入れておくのが良いとされていますが、野生の鳥もしくは野生化した鳥の再調教でないのであれば、行動修正トレーニングによって改善される期待は高いそうです。

しつけや基本のトレーニングは、小型の鳥なら1歳までに、中型なら2歳までに、大型なら3~5歳までが入り易いと言われていますが、人の差し餌で育った個体なら、訓練次第で素晴らしいパートナーになるので、根気よくトレーニングを行うと良いでしょう。

行動修正トレーニングの入れ方

流れとしては、問題行動に対して、①定着した理由を考え、飼い主がそれをやめ、②飼い主が他の良い行動(飼い主が望む行動)を教え、③それが出来たらご褒美を与える という流れになります。

問題行動の定着の多くは、飼い主との不適切な関係性であり、基本的なしつけやトレーニングを怠った、あるいは対応を間違えた為に、鳥が自分本位で行動することを許した結果です。

その為、先の①~③を入れるのは勿論ですが、毎日行う事で効果をもたらすステップアップトレーニングや、クリッカートレーニングは、劇的な変化をもたらすと言っても過言ではありません。

すなわち、愛鳥の行動修正トレーニングは、飼い主の行動修正トレーニングに他ならないのです。

問題行動が定着した理由を考える

問題行動が定着する理由で特に多いのは、以下の点で、飼い主側の問題も少なくありません。

  • 静かにさせる為に餌やスキンシップなどご褒美を与える
  • トレーニングでできていないのに餌を与える
  • 問題行動に対して飼い主が笑ったり、何らかのリアクションをする

ステップアップトレーニング

ステップアップやクリッカーなどは、行動修正というよりは、飼い主との信頼関係を深める事の出来る最も簡易な方法です。

そして最も効果的なトレーニングの一つでもありますので、毎日3分、一日2回、それが無理なら一日1回、1分でも良いから行いましょう。

大切なのは、縄張り以外の場所や部屋で行う事です。

インコ・オウムの基本のトレーニング~ステップアップ~

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社会性を身に着けられる

社会性とは、集団生活を営む事ですが、これはトレーニングによって身に付けることができ、かつ、社会性を身に付けたコンパニオンバードはそれは素晴らしいパートナーになります。

とは言え、「社会性を身に付けるトレーニング」なるものが存在わけではありません。

これはステップアップ訓練やクリッカーなどの基本のトレーニングを積み、また人と触れ合い集団生活に馴染み、一つの人や物に固執させないように仕立て上げるのです。

その為にも飼い主との信頼関係を構築することが最優先になります。

インコ・オウムのしつけ~社会性とは~

インコ・オウムと暮らす~協調性・自信・信頼~

日常の中で大切な事とは

人間の傍(腕)が最も安全な事を教える

飼い主の腕が最も安全であることを教えます。

毎日手にのせ、ご飯やおやつを食べ、腕に乗る事が当たり前になるようにステップアップトレーニングを行います。

条件反射的に腕に乗ることが出来るようになれば、呼び戻し訓練やフライト訓練もできるようになります。

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縄張りを持つのは、食料の確保と繁殖の成功ができ、身を隠す事ができる防衛機能を兼ね備えた最も身の安全を確保できる場所だからです。

ですが、人間の都合で飼育下に置かれる動物にとっては、特定の人や場所に縄張り意識を持たせることは、反ってその子の将来の妨げになります。

そうした状況には徐々に変化を与え、訓練者や飼育者がいればそこは安全な場所であると認知をされるようになります。

人間の手が安全な場所であると知れば、手乗りにする事ができます。

一方で肩に止まろうとするのは、その手が安全とは判断されておらず、より安全を確保できる高い場所を選んでいるからです。

高い場所に上がる事を許すと、外へ出た時に必ず高い所へあがろうとし、呼び戻しが困難になったり、帰ってこなくなります。

飼い主のそばが最も安全な場所である、そう思ってもらえるトレーニングをすれば必ず、鳥やほかの動物、飼育者も幸せになれるでしょう。

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最後までありがとうございました。

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