鷹の体重管理~減量と代謝とフンの関係~

猛禽類の体重 代謝 鷹匠
2025年10月フリーフライト

体重と代謝とフン

鷹の飼育を初めて4年目に突入しましたが、鷹との信頼関係を築くために最も重要な事は、やはり存分にフライトをさせてあげる事なのだと日々実感しています。

共にフライトを楽しむ為にも、日々の体調管理は欠かすことが出来ません。

中でも最も重要な『肉色当て』については既にご紹介いたしましたが、今回はそれに関連して体重と代謝とフンの関係について記事をまとめてみました。

体重と代謝の関係

代謝(たいしゃ)とは、生命体内で起こる物質の合成と分解、そしてエネルギーの変換を伴う一連の化学反応の総称で、活動に必要なエネルギーを作り出し、不要な老廃物を排出する工程を言います。

猛禽類では欠かせない減量と代謝

猛禽類のフライトトレーニングを行う上で欠かすことができない減量ですが、減量は単に体重の数値のみに注目するものではなく、代謝についても理解をして、筋肉量を適切に保つ事が求められます。

通常エネルギーの変換は摂取した食物から行われますが、脂肪が蓄えられている場合には、食物を摂取しなくても脂肪を燃焼させることでエネルギーに変える事が出来ます。

ところが脂肪が燃焼され尽くされ、燃料となる食物が体内に取り込まれなければ、今度は筋肉がエネルギーに変えられて行きます。

筋肉が消費されることで適切な筋肉量の維持が困難になると、生命が脅かされるような危機が生じてしまいます。

このような危機を避ける為、猛禽では肉色当てをして、竜骨突起上に載っている筋肉量を見て(推測)、どれくらいの減量をしなければならないかを判断します。

竜骨突起 肉色当て

竜骨突起と肉色当ての様子

代謝とフンの関係

猛禽では、脂肪が消費されているうちは水分の多いフンが見られますが、脂肪が消費尽くされると筋肉(タンパク質)が消費されることで、水分が少ないフンに移行します。

フンの性状の意味

フン(うち)は主に茶色いフン、緑色のフン、白いフンに分類できます。これらの状態を見ると、食べ物の消化具合や代謝の進み具合が分かります。

(黒)茶色いフン

肉色当てと体重

白いフンは尿で        茶色いフンはうち(便)

茶色いフンが見られる場合には、まだ、消化官の中に食物が残っている状態です。

そのため、フライトで餌への反応が悪い場合は、前回の給餌から24時間以上空けてみると良いでしょう。

緑色のフン

緑色のフンは胆汁によるもので、消化管の中の食物が消化しきった状態になります。

この状態の猛禽は空腹な状態にある為、フライトの準備が出来ていると判断できます。

白いフン

水分の多い、緑色のフン

鳥の場合、尿は尿酸(白い)として排出され、飛び立つ前に体を軽くするためにフンをするとも言われています。

尿が多い場合の猛禽は、減量中でも脂肪が燃焼している過程にあります。

今後は、肉色当てをして、筋肉量を確かめた上で、減量しすぎないように注意しなければばりません。

体重とフンの関係

減量中、一定期間は緩やかに体重の減量が進むのですが、急激に体重が下落するタイミングがあります。

脂肪が消費されている間は尿の多いフンが排出されているのですが、脂肪の燃焼が終わり筋肉が消費されると、水分の少ないフンが出るようになります。これが、体重が急速に下落する原因となるのです。

筋肉(胸筋)を消費した猛禽は翼を動かす筋力がなくなる為、飛べなくなります。つまりスタミナが持たないので、途中で降りたり、弱々しい羽ばたきになります。

これを体重が重い(減量が足りない)から飛べないと見誤り、更に給餌量を減らしてしまうと、餓死に移行する恐れが生じるのです。

このような場合は、給餌量を増やして筋力アップトレーニングを行うようにします。

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