鷹の初期トレーニングと注意事項
ハリスホーク(モモアカノスリ)の天雅君をお迎えして3年が過ぎ、現在はフリーフライトを楽しんでいます。

ノスリとは、野をスレスレに飛ぶことから名づけられた。
私の場合、フリーにするまでの道のりは決して楽ではありませんでした。
特にひも付き訓練では私の未熟さや思いの至らなさから、鷹に危険な目に合わせてしまったと深く反省しています。
そこで今回は実際の経験を元に、ひも付き訓練での注意事項と起こり得る事故についてご紹介いたします。
フライト訓練で使用する紐
鷹道具にある紐の種類には、リーシュ、大緒、忍縄(おきなわ:絹糸)、クリアンス(合成繊維)があります。このうちフライトに使用するのは忍縄かクリアンスです。

日本の大緒は高価

クリアンスは安価:鉄製の杭は重いので、 持って行かれない
ひも付き訓練での注意事項
ひも付き訓練では、ひもを長くしすぎないこと、また、周囲に高い建物がある場所は避けなければなりません。
距離を飛ばすためには長い紐が必要ですが、その分ほかの方向に行ったとき遠くに行ってしまい、木や建物に引っかかって身動きが取れなくなる恐れがあるからです。
紐付きフライトでの事故
紐をつけるのは、行動制限をする事でロストを防止する為ですが、この事は必ずしも鷹の安全を確保するものではなく、紐付きフライトだからこそ起こる事故がある事を知っておかなければなりません。
紐付きの練習中にしばしば起こる事故は、予期せず鷹が飛び立ってしまい、高い場所に上がってしまう事です。
- 突然の物音や人にびっくりして高い木の枝に上がってしまう。
- 強風にあおられて木や建物の柵などに紐が引っ掛かってしまう。
- ロープジェスや、紐(忍縄)が木や建物に絡まり逆さづりになる。
この内、最も厄介なのが3つ目の逆さづり状態になる事です。
高い場所でも、紐がどこかに引っかかりさえしなければ時間はかかっても呼び戻しにより下す事はできます。
ですが、ロープジェスや紐が、木の枝あるいは建物の柵などにからまり、鷹が逆さづりになってしまうと、早ければ数十分で死に至ると言われています。
その為、ひも付きでのフライトでは、周囲に高い物がない広い場所を選ぶようにしなければなりません。
不慮の事故が起きたら…
万が一事故が起きた場合には、まずは師匠がいれば師匠に連絡し、どうすべきかを相談をします。
また、その場所や施設を管轄している管理会社がわかれば連絡をし、救助に協力を頂けるようお願いしてみましょう。
練習場所は許可を得た場所で
私は普段から家の近くの河川敷で練習をしています。
この河川敷の管理者は市になりますので、鷹を飼い始めてすぐに市へ連絡し、まずは鷹の(ひも付き)練習を行っても良いか問い合わせ、問題ない事を確認していました。
また、通行人や利用者の方から苦情がある場合には連絡を頂けるようにと既に連絡先もお知らせしておりました。
事故はどのようにして起こるか
私は一度、紐を建物に引っ掛けて自力では鷹を救出する事が出来ない状態になった事がありました。
フリーを目前に控えた2月頃、紐付き練習の準備(クリアンスを長くしていた)をしていた時に突風にあおられてしまい、予期せず鷹が紐をつけたまま飛び立ってしまいました。
このような場合、すぐに足で紐を押さえるのですが、突然の事でクリアンスを操作できず、鷹は、市の設備である建物の上に上がり、鉄の棒に縄を1周させ、宙づり状態になってしまいました。
幸いだったのは、紐が緩み、鷹自身が何とか自力で足場を見つけ、態勢を整えてじっとしていてくれたことでした。
強風の中にあっても最も危険な逆さ状態になる事だけは避ける事が出来ました。

紐がひっかかりながら、この後足場を見つけ無事に姿勢保持
当時はパニックになってしまい頭によぎったのは、レスキューの要請でしたが、まずは師匠に連絡し、幸いにもすぐに対応して頂き、アドバイスをもらう事ができました。
建物の管轄あるいは管理者、所有者は誰か
建物には名称が記載されているのでそれを探し、速やかに連絡を取りましょう。
この時は市の設備でしたので、職員の方の援助を頂く事が出来、20分程度で救助することが出来ました。
紐が引っかかった場所に入らせてもらい、鷹の足元を見ると、平な部分ではなく細い場所にようやく留まっていたようでした。
鷹に申し訳ない気持ちと、市の方の手を煩わせてしまったことも申し訳ない気持ちになり、今思い出しても反省しかありません。
公共施設では入る事ができない場所もあるかと思います。練習場所の選定や、練習方法には十分気を付けなければなりません。
安全の為にはガイドを使用
ひも付き訓練では、ガイドを使用して行動制限を行うとより安全に訓練をすることが出来ます。
ですが、ここでも危険は潜んでいますので、細心の注意が必要です。
ガイドの付け方
ガイドには登山用のロープやワイヤーなど、ある程度頑丈な物を使用します。
端から端にガイド紐を渡し、そこに、鷹につける短い紐(ガイドの高さから地面に着く程度かそれより少し長いくらいの紐)を、カラビナなど移動が可能な金具を使用します。

ガイドを使用して行動制限を
カラビナを使用する場合は、必ずロック式の物を使用します。
そこそこ距離を飛べるようになったら、次は高いところからの呼び戻しを行います。この場合も紐を長くしすぎないように注意しましょう。
飛ぶようになると、つい嬉しくて紐を長くしたくなるのですが、それよりも餌への反応を上げて、着実にフリーに出来るように鍛錬すると良いと思います。
紐の連結や、使用する金具についてはまた改めて記事を投稿いたします。
最後までお読みいただきありがとうございました。




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