鷹のルアートレーニング
ハリスホークの飼育を始めてから3年が経過し、現在はフリーフライトを楽しんでいます。
今回は、初心者向けに、ルアー(疑似餌)トレーニングの必要性についてのご紹介になります。
同じ内容の記事をYouTubeでもご覧いただけます。

詳しいルアートレーニングの入れ方は、鷹の初期トレーニング~ルアー紹介~でご紹介しています。
ルアートレーニングとは
鷹道具の一つにあるルアーとは疑似餌のことで、魚釣りのルアーと同じ意味です。
ルアーに餌となる肉片(大きい)をつけて、空中に投げてそれをつかませる訓練になります。
このように言うとルアートレーニングは、狩りをする為の練習のようにも思うかも知れませんが、狩りをしなくてもルアーはひも付き訓練中に入れることをお勧めします。
狩りをしなくてもルアーを入れる理由
狩りをしなくても、鷹にはルアートレーニングを入れておきます。
これは狩りが目的ではなく、絶対的回収手段にする事が目的だからです。
鷹のフライトトレーニングでは、餌を少しずつ(口餌)与えていくので、ある程度お腹がいっぱいになると反応が悪くなります。
また、グローブの餌では見えなくなるような遠いい場所まで行ってしまう事も多々あります。
このような場合、口餌だけでは呼び戻しができなくなるので回収が困難になります。
そこでルアーを振ると喜んで食いついたり、姿が見えない場所に行ってしまってもルアーを振れば注意を引くことができるのです。
つまり、必ず回収することができるようになるのです。
ルアーで重要なこと
空中でキャッチをさせるルアーパスは格好いいですね。

空中キャッチは自然にできるように
ですが、最も肝心なのは、ルアーを振れば必ず反応してルアー(の餌)に食いつくという事です。
そのため、初めのうちは空中キャッチにこだわらず、餌のついたルアーを振ってポトンと落として、確実に仕留めてもらえるようにします。
生物の行動の習慣づけで最も重要なこと
鷹に限らず、生物の訓練の基本(行動の習慣づけ)は、『ある行動をしたら必ずご褒美をもらえる』という事を覚えさせることです。
ですが、ここで最も重要なのは、例え何かをしていても、ご褒美を与えれば(見せれば)その行為をやめて反応することができる、というところまで仕立てることです。
こうすることで、飼い主が危険を察知した際にも確実に呼び戻すことができるのです。
ある行動の習慣づけと条件付け
ある行動を習慣づけるためには、条件付けを行う事が必須です。
基本的には習慣づけたいある行動を行う度にご褒美を与えることですが、ある行動を維持させるためには、メリハリがあることが重要です。
ハリスホークでは、それがルアー訓練なのです。
通常フライト訓練は渡り(高所からの呼び戻し)や振り替え(二人一組での往復)では、口餌という小さな餌で行います。
ですが、それだけでは本数を飛ぶうちに反応が悪くなります。
そこで例えば、餌合子を用いて、その中にスライスした肉片(やや大きい)や、好物の肝臓や心臓を入れて呼び戻すだけでも、テンションを上げることができます。
餌合子は、入れ物の蓋を鳴らすことで呼び戻しを行いますが、この音とご褒美の餌(いつもと異なる)が関連づけられて反応につながります。

またルアーには、大きい餌をつけてあげるので最も食いつきがよくなります。
訓練は笛を吹いて行い、ルアーには必ず大きな餌(ひよこ1/2~1羽)をつけ、最後まで食べさせます。この笛の音と大きな餌(ルアー)が関連づけられて反応するようになるのです。
ルアーの種類
ルアーのデザインは多様でウサギ型やカモの形をした物もあるようですが、一般的には下の写真の形が多く使用されているようです。
またルアーにも大きさと重さがあります。
軽い物は振り上げるのが難しくなりますし、大き過ぎる物、重過ぎる物は鷹に当たって怪我をする恐れがあるそうです。
革だけのルアー
普段のトレーニングで使用するのは、通常このタイプです。

初代ルアー:矢印の部品で、輪にくぐらせた餌を抑える
生ものを装着したり紐の部分を引っ張って 固定するなど負荷が掛かるため、2年くらいで壊れてしまいました。
そのため、2代目を鷹の購入元で買ったのですが、初代よりかなり大きく、また重い物が来ました。
現在はこれで練習をしていますが、初代を使用していたころはよく空中でキャッチできましたが、これは大きすぎるせいか空中でのキャッチを避けるようになりました。
時々はキャッチするので、トレーニングを続けていますが、初代を修理することにしました。

2代目ルアー:中央の紐に、餌を見えるようにして取り付ける

真ん中に輪状の紐がついていて、その部分に肉片をくぐらせて固定
現在トレーニングをしているのは雄ですが、雌ならこれくらい大きなルアーでも良いかと思います。
私はいずれ雌のお迎えも考えているので、大きさや重さについては、お店の方によく相談すると良いと思います。
羽根つきのルアー
羽根つきのルアーでは、羽をむしる快感を与えらえるので、狩りの練習に適しています。これもまた消耗品ですが、メンテナンスをしてくれるお店もありますので、そうしたところを選んで購入すると良いでしょう。

羽根つきのルアー
ちなみにこのルアーはカモの羽を使用したMサイズでしたが、軽すぎてなかなか振り上げられませんでした。
その場合には錘を足して使用すると良いでしょう。
ルアー訓練を入れるタイミング
鷹のフライト訓練の流れは、主に以下の順序で行います。ひものついた状態で、フライトの反応が上がり、フリーにする前には、しっかり入れるようにします。
- グローブの上で餌を食べる
- リーシュの長さをジャンプする
- クリアンス(20~30mの長い紐)付きでグローブに呼び戻せる
- ルアーに反応する
- フリーにする
- 後追いさせる
- 生餌での訓練をする
- 鷹狩に行く
ひも付きでどれくらい飛べたらルアーを入れる?
まずは、訓練での反応が良いと思えるようになったらルアーを入れると良いと思います。
反応が良いといえるためには、餌を見せて(あるいは合図して)20秒以内には戻れるようにしなければなりません。
※書物により30秒以内とするのもありますが、体感として長すぎるように思います。
また飛ぶ距離は、近くより遠いい方が反応が悪くなるので、ある程度の距離で飛べるようにします。
ただし、ひもを長くし過ぎると建物や木に引っかかりとても危険ですので、無理はしなくて大丈夫です。むしろ、距離を延ばすことよりも、風景の違う場所(公園、林、野原など少なくとも3か所くらいは用意)で餌への反応を上げることに集中しましょう。
そして高い場所から反応させることができれば、フリーを見据えてルアーを入れていきます。

ルアートレーニングの流れ
ルアー紹介と条件付け
ルアー紹介:まずは鷹にルアーにご褒美がついている事を認識させます。地面に見えるようにポトンと置いて掴んで食べさせます。
ルアーと笛の条件付け:ルアーの餌を食べている間に笛を吹いて、条件付けを行います。この時、ルアーを持ち逃げされないように必ずルアーの紐を足で押さえます。

持ち逃げされないようにルアーを足で押さえる
据え上げ(ルアーの回収)
鷹が餌を全て食べ終えたのを確認したら、餌を握ったグローブを握り、鷹の胸にそのグローブを当てます。
握った餌を交換にルアーの回収をするのですが、できるだけ鷹の胸の奥の方にグローブを当て、鷹が食べにくい状況にします。
すると、鷹がグローブに足をかけるので、自然にルアーから離すことができます。

餌と交換にルアーを回収する
鷹がグローブに足を掛けたら、餌を握っていない方の手でルアーを覆い隠し、鷹にばれないように素早く引いてポケットなどに回収します。

餌と交換にルアーを回収する
据え上げに失敗したら
据え上げに失敗しても、ルアーを無理やり取り上げないようにします。仕留めた獲物を無理やり取り上げると、鷹は狩りをあきらめるそうです。
なので、必ず餌を交換にルアーから離れてくれるようにしましょう。
より詳細なルアートレーニングや注意事項は、後日改めてご紹介いたします。
こちらの動画もぜひご参照ください。最後までありがとうございました。





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