ルアートレーニング
皆さんこんにちは。
ハリスホークの天雅君と日々フリーフライトを楽しみ、失敗したことや学んだ事をブログやYouTubeでご紹介しています。
前回は、ハリスホークにルアートレーニングを入れる必要性とルアーの種類についてご紹介いたしました。
今回は、具体的なトレーニング方法のご紹介記事になります。
同じ内容をYouTubeでもご覧いただけます。

ルアートレーニングの意義
繰り返しになりますが、鷹の絶対的回収手段にする為にルアーを入れておくことをお勧めします。
フリーにすると、遠くに飛んで行ったり、風に流されて姿が見えなくなるばかりか、鈴の音さえ聞こえない場所に流されることが多々あります。
これは鷹が気流に乗ってフライトをする為です。
このような場合、グローブに握った餌は見えなくなりますし、声を出しても聞こえません。
ですが、大きな餌をつけたルアーを振り回すと注意を引くことができ、かつ条件付けで仕込んだ笛の音を響かせれば、大きな餌をもらえることを知っている鷹なら確実に呼び戻すことができるのです。
※条件付けに付いてはこちらをご参照ください。
フライトトレーニングの流れ
普段のフライトトレーニングでは、口餌を用いて呼び戻しを行い、必ずある程度の本数を飛んでから最後の仕上げとしてルアーを入れます。
最初にルアートレーニングで大きな餌を与えると、口餌では反応しなくなるからです。
ルアーがご褒美であることを学習してもらうためにも、必ずフライトトレーニングの最後に入れるようにしましょう。
ルアー紹介
ルアーは無害(ご褒美)であることを教える
初めてルアーを入れる場合には、鷹にルアーが無害であることを学習させなければなりません。
そのため、高く振り上げる必要はなく、ルアーに大きな餌がついているのをわかるように、目の前においてあげましょう。
ルアーと笛の条件付け
まずは静かな環境で低い位置にハリスホークを係留します。
合図の笛を吹いてからハリスの足元に、大きな肉片(例:ひよこ1/2~1羽)をくくりつけたルアーを、目の前にポトンと落とします。あるいは置くだけでも構いません。
この時、足でルアーの紐を抑えます。

持ち逃げされないようにルアーを足で押さえる
ルアーに食いついたら成功
ルアートレーニングが進むと自然に空中キャッチができるようになりますので、まずは初期トレーニングでは、ルアーに警戒しないで食いつかせる(仕留めさせる)事が重要です。
笛の音とルアーの条件付け
ルアーを落とす前に「ピーッ」と笛を吹きます。また食べている間も「ピーッ、ピーッ」と笛を鳴らし続け食べ終えた頃に吹くのをやめます。
音はできる限り大きく鳴らします。
これを繰り返すことで、いずれ最初の笛で、ルアーだとわかるようになり、たとえ姿が見えない場所に行ってしまっても、反応していくれるようになります。
ルアーを持ち逃げさせない
ルアーは絶対に持ち逃げされではいけません。
そのため、鷹がルアーをつかんだら必ず足でルアーの紐を抑えるようにします。
この時、ハリスの横にそっと並んで、足でひもを抑えてしゃがみ込みます。
ルアーに反応しない場合
ルアーへの反応が悪い(ルアーの餌に興味を持たない)場合には、少し紐を引っ張りながら動きをつけます。
動きのある物には反応しやすいので、これを繰り返すとルアーを仕留めてくれます。
ルアーに反応しない理由
ルアーへの反応が悪い場合に考えられるのは、満腹か餌に興味がないかのいずれかです。
ただ、フライトトレーニングでは、少々お腹がいっぱいでもルアーに反応できるくらい通常鷹はルアーを好みます。
そのため、肉色が高すぎるとき、体重が重すぎるとき、前日の給餌との時間があまり開いていないときは、給餌量やトレーニング時間を調整しましょう。
給餌に関してはこちらの記事をご参考ください。
据え上げ
据え上げとは、ルアーを回収するための手技になります。
ハリスホークがルアーの餌を食べ始めたら、すべて食べ終わるのを静かに待ちます。
その間に、ルアーと交換用の肉片をグローブに握るか載せます。
食べ終わったら、グローブをできるだけハリスホークの胸の内側につけて、ハリスがグローブに脚をかけやすくなるように仕向けます。
グローブの餌はかじり憎い位置に
ハリスの胸の内側にグローブを押し当てるようにすると、かじり憎いため脚をかけてくれます。

鷹が食べにくい位置にグローブを当てると、 脚をかける
こうするとスムーズにグローに移動させる事ができます。
グローブに移譲出来たらルアーを手で覆う
ハリスがグローブに移譲出来たら、反対の手でルアーを覆い、見えないように隠しながら、ベストのポケットやポシェットなどに素早く隠します。

餌と交換にルアーを回収する
据え上げに失敗したら
餌を差し出しても、餌だけ食べられ、ルアーを離してもらえない場合もあります。
この場合でも、決して無理にルアーを引きはがそうとしないようにします。
このような行為は、仕留めた獲物を横取りされする事であるため、繰り返しされるとそれを学習し、狩りをあきらめるといわれるているからです。
そのため、必ず餌と交換にルアーを回収できるようにしますが、同じようにするとまた餌だけ食べてしまうかもしれません。
このような場合には、少し離れた位置に餌を投げてみると良いでしょう。
ルアーに慣れたら
地面に置かれたルアーが無害であることを学んだら、今度は少し距離をつけて振って見せましょう。
振ったルアーに反応できればそれで成功です。
どれくらいの距離からルアーを振るか
紐付きでのトレーニング中は、紐を長くし過ぎるとあらゆるリスクが高くなります。
そのため、無理に遠くから降る必要はなく、まずは1mくらいの距離から始めます。
ルアーを振って、地面に落とす前に反応するか、地面に落とした時に反応するかを観察します。
地面に落とす前に反応できれば、体重コントロールが出来ていると思います。
ルアートレーニングばかりしない
ルアーは、回収手段の一手にするので、必ずフライトトレーニングの後にご褒美的感覚として行うようにします。
鷹類にとってルアーは刺激が強く、また好ましいものでもあるため、ルアーばかりをしているとグローブへ戻らなくなる可能性があるからです。
空中キャッチでの練習と注意事項
ハリスホークは脚が長いため、空中でルアーをキャッチすることはあまり得意ではないとも言われていますが、日々の練習次第のように思います。
空中キャッチの練習
初めて空中で掴ませる場合は、地面から10㎝程度の位置にルアーを下げて、前後に振ります。
ハリスホークの位置は、最初は低い位置で構いません。これを掴んでくれれば成功です。
慣れたら使役者の胸の位置より下(ベンチの背もたれなど)くらい、次には目線の上になる場所になります。
通常のフライトでもそうですが、高い位置にハリスホークをあげる場合には、肉色を下げたり体重を下げます。
こうした管理を怠ってルアーを掴まないから、と繰り返し失敗を繰り返させると、狩りをあきらめるようになるといわれています。
空中キャッチは失敗しても良い。
先ほども書きましたが、ハリスホークは空中キャッチが得意ではありません。
そのためたとえ空中キャッチを失敗しても、合図をして飛んできた場合には振ったルアーの餌は必ず食べさせるようにします。
一方、呼んでもいないのにルアーを見て反応し、勝手に飛んできてしまった場合にはルアーの餌を与えてはなりません。
何故なら、バードショーを行うのであればまだしも、ルアーの空中キャッチはさほど重要ではないからです。
むしろ、合図をして速やかに反応できるのであれば、たとえフリーになって遠くに行ってしまっても、ルアーで注意を引くことができ、安心して回収できるようになります。
合図をしていないのにルアーに反応したら
ところが、呼んでもいないのにルアーに反応し、その場合にそのまま餌を与えてしまうと、鷹のタイミングで飛ぶのを許す事になり、フリーになった時に、使役者の指示で回収ができなくなる恐れが生じます。
普段のトレーニングでも、また、ハリスホークに限らず他の動物にも共通して言える大切な事は、たとえ今何かに夢中になっていても、飼い主(使役者)が指示を出せばそれを中断して呼び戻す事ができる、という動物(家族)に仕立てる事です。
そのことが、大事な家族を多くの危険から守ることに繋がります。




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