社会性とは
社会性とは、人間で言うところの集団生活が可能になることです。
社会性を身に付けた動物は、素晴らしいコミュニケーション能力を発揮し、誰からも愛される存在になります。
ここでは、インコやオウムの社会性について、なぜ身に付ける必要があるのか、どのようにしつけや訓練がいるのかご紹介いたします。
社会性を身に付けると
将来どのような不遇な環境になっても、その状況に適応していくことが、その鳥にとっては最良となるため、早期に社会性を身に着けさせる事が最重要課題です。
そのためには、人や部屋(ケージ)、食べ物に執着心(縄張り)を持たせないようにすることが必要であり、日々、鳥が選択する事ができる環境にします。
与える物は1種類に絞らない
餌であれば何種類かを混ぜてみたり、1種類だけを与えないようにし、色んな物を食べられる機会を与えます。
おもちゃも2種類以上与えると良いと言われています。
また、可能であればケージを2個用意して定期的に交換し、縄張り意識を持たせないようにします。
動物は縄張りを明白にして一つの物に執着するのが通常ですが、同じケージで飼い続けると縄張り意識が抜けず、訓練が入りにくくなるためです。
注意が必要なのは、人部屋を与える場合です。この場合、部屋全体を縄張りとみなすため、部屋に入る者に攻撃的なる事があります。
トレーニングはケージが見えない場所で行う
トレーニングでは身につけさせたい行動と餌やり(ご褒美)を関連付けて行います。
ここで重要なのは、トレーニング中はケージの見えない場所で行う、と言う事です。
特定の人や縄張りに対して過剰な執着心を持たせると、予期せぬ事態に遭遇した時(特定の人との別れなど)に適応できなくなり、問題行動(毛引きや羽齧り)を引き起こすきっかけになる可能性があります。
ただし、トレーニングだからと言って急激な場所の変化によって、かえって訓練ができなくなる事もあります。
例えば、普段は室内で訓練をしているのに、いきなり人通りや交通量の多い場所に行くのはストレスを与える可能性があります。
まずは、いつも部屋で行っているのであれば、部屋とは雰囲気の異なる廊下やお風呂場で訓練をします。
外出する場合
それが問題なくできるようになったら、家の近くの外に行ってみましょう。
まずは家の周りを、それから人の少ない公園から河川敷、交通量の少ない場所から徐々に街中へ行き、著しい変化を避けて外にストレスにならないよう配慮をします。
こうしたトレーニングは必ず段階を踏んで、一つの行動が確実に身に付いたら、次のステップへ移行し、行動範囲が拡大できるように順序立てて行います。
また、訓練は必ず空腹を利用して行います。そのためには毎日の体重管理も重要になります。
ケージや室内環境は定期的に変える
繰り返しになりますが、一人の人や一つの物・事柄に執着をすると、将来その子がつらい思いをする事があります。
その為定期的に環境を整えますが、環境変化に適応できる為には自立心が養われてなければなりません。
自立心のない場合の最大の問題は呼び鳴きで、原因は特定の人への依存心、あるいは一人にさせられたと思う孤独感や分離不安がほとんどです。
分離不安
飼い主の姿がなくなると激しく動揺して、呼び鳴きや絶叫を始めます。
分子不安も徐々になれますので、トレーニングを入れる事をお勧めします。
その記事については後日改めて投稿いたします。
インコやオウムをお迎えしたら
雛の内から一人遊びができるようにし、特にかじる事ができるおもちゃは切らす事なく与え、呼び鳴きには反応せず、静かに一人で遊んでいる時こそ、ご褒美を与えて褒めてあげましょう。
社会性を習得する行動
社会性を習得させる為には、以下のような鳥に仕立てる必要があります。
- 臆病でも攻撃的でもない成鳥にする
- 静かでも騒々しくもない成鳥にする
- 人と適度に遊び、一人遊びもできる成鳥にする
この目的を達成する為に特に重要な飼い主側の行動が以下の6点です。
- 望ましい行いをしたときにはほめる
- 望ましくない事をしているときは、反応をしない
- 体罰を与えない
- 鳥に噛みつき癖をつけない
- 鳥に選択肢を与え、選ばせる
- 特定の人への固執や縄張り意識を持たせない
こうしたしつけは日常に見られる場面でその都度行います。
行動を定着させるには訓練
一方訓練は、ある程度の時間を確保して鳥に一定の行動を定着させたい場合に行います。
ステップアップ・呼び戻し
個人的に入れておくと良いと思う行動(トレーニング)は以下になり、番号はトレーニングを入れるステップの順番になります。
- 手乗りにする事ができる
- 自分からケージに戻る事ができる
- 手乗りで外へ散歩に出られる
- 呼び戻し(フライト訓練)ができる
- 「こんにちは」「バイバイ」などの挨拶ができる
これらのトレーニングは、先ほどお話しした社会性を身に着けられるようにする上でとても役立ちます。
慣らしのトレーニング
また、タオル保定もできる限り入れておくことをお勧めします。
これは、病院に受信した場合には、処置や採血などでは保定をして行う事がほとんどだからです。
もし、現在タオルを使ったことがなければ、是非「慣らしのトレーニング」をしてみましょう。
トレーニングの持つ意義
トレーニングは鳥にとっても人にとっても楽しいものが望ましいのですが、鳥にとって最も重要な事は、自分の身が安全な環境にあるかどうかです。
その為、飼い主や訓練者の手の上、あるいは傍が最も安全な場所であると言う事を教える為にも、様々な人や場所、他の生物に触れることをお勧めします。
トレーニングの2つの意義
トレーニングには大きく2つの意義があります。
一つは、様々な訓練を通じて飼い主との交流を深め、守られていることを知ることで深い絆を築くことが出来るという点です。
そしてもう一つは、トレーニングを重ねることで成功体験をさせ、鳥自身が自分に自信を持つ事が出来るという点です。
この意義を意識して鳥と接すると、素晴らしいコンパニオンバードへと成長し、必ずやあなたの人生に幸福をもたらす良きパートナーになることでしょう。

公園で。うれしいのかお喋りしながらのフライトトレーニング。
最後までお読みくださり、本当にありがとうございました。


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