コンパニオンバードとおしゃべり
人に慣れ、家族の一員として親密な共同生活を送る事ができるコンパニオンバードの人気は、近年うなぎのぼりです。
それは愛くるしさは勿論ですが、訓練次第で言葉によるコミュニケーションが可能になる事も大きな理由ではないでしょうか。
そこで、私自身も現在一緒に暮らしているハルクインコンゴウインコとおしゃべりを楽しんでいるので、その日常をご紹介いたします。

ハルクインコンゴウインコのおしゃべり
ハルクインコンゴウインコは、ルリコンゴウインコとベニコンゴウインコのハイブリッドで、コンゴウインコの中でも大きく、世界最大のインコと言われています。
コンゴウインコは、ルリコンゴウインコが比較的おしゃべりをすると言われていますが、私の愛鳥もどうやらおしゃべりは得意なようです。
と言うのは、うちの子はおしゃべりをするために積極的に訓練をしたわけでもないのですが、色んな言葉を話してくれるからです。
そこで、おしゃべりをする上で最も肝心なのは何か、またお迎えから現在までの生活環境や接し方についてご紹介いたします。
愛鳥 サファイアを紹介
お迎えしたのは1歳を目前に控えた男の子(2023年4月下旬頃)です。
人の手から餌は食べる事は出来ましたが、手乗りにはなっていませんでした。
ただもともとひとり遊びが出来る(自立心がある)子でしたので、手乗りトレーニングや現在行っているフライトトレーニングは、比較的楽だったのではないかと振り返ります。
自立心が強い子が、人間も動物も手がかからないのはどうやら同じようですね。
生活環境
部屋・ケージ
防音工事の施してある一部屋を与え、そこにケージを置いて基本的にはケージの中で過ごさせています。
餌や水のみの差し出し口には南京錠をつけています。
テレビは設置していません。
朝日は要注意
カーテンは遮光用の物を使用していましたが、2年目の6月に、朝5時半に一度大声で鳴いたのを機に暗幕に変えました。
早朝に鳴いた理由は2つ考えられます。
一つ目は、インコ類は規則正しい生活を好むので、朝になったと思いケージから出してもらう為に鳴いたのではないかと言う事、そして2つ目は、空腹によりご飯を欲しがったのではないかと言う事です。
これは、フライトトレーニングは空腹にさせた状態で行っている為、餌を絞っていたので、朝になった事で呼び鳴きをしたのではないかと思いました。
私は後者と思いましたが、いずれにしても夜行性でない動物は夜間は身をひそめるので、遮光カーテンよりも暗い暗幕に変えた事で、カーテンを開けるまでは現在は鳴かないようになりました。
コミュニケーション
日常の接し方
私はコンゴウインコを飼うに当たり、誰からも愛される鳥に仕立てたい、そうしなければいけないという使命感を持って暮らしています。
私に不測の事態が起これば、その時は購入元に引き取っていただく約束はしていますが、飼い主にしか懐かないのであれば、その後の彼の人生がとても辛いものになってしまうからです。
その為にも、過度の接触を避け、訓練の時間と遊びの時間を明白に分けています。
またひとり遊び、充分な睡眠時間の確保が出来るように配慮しています。
他者とのコミュニケーション
手乗りになってからは階下のリビングに連れて行き、家族との接触時間を持つようにし、現在もそれを意識しています。
散歩では、申し出のある方(大人限定)には積極的に手に乗せてあげてお写真を撮っていただいています。
また色んな方から好物のひまわりの種を手から上げてもらうようにしています。
彼らが好きになる人は、餌をくれる人でも、掃除をしてくれる人でもなく、一緒に遊んでくれる人、大好物をくれる人だからです。
放鳥
仕事を持っていますが、基本的には夏場は朝・夕2回の放鳥を、冬は朝1回の放鳥をし、休日時間が取れる日は、2~3時間は一緒に過ごすようにしています。
トレーニング
おしゃべりトレーニングは、あまり意識していませんでした。
それよりも、放鳥させたり、以下のトレーニングを入れる事によって接する機会や話しかける機会をふんだんに持つことが重要なようです。
行動修正トレーニングは、人間との生活になじませ、鳥自身が快適に暮らせるようにする為でもあります。
他にもクリッカーやフライトなど、様々な訓練がありますが、最も重要なのは、呼んだらその作業を止めて言う事をきく、というところまで仕立てる事です。
ステップアップ訓練
お迎え1週間後からステップアップ訓練を開始しました。
トレーニングは毎日2回(朝夕30分~1時間)です。
2~3か月後には、手に乗せて自由に家の中を移動する事ができるようになりました

フライトトレーニング
私の大きな目標に、ボランティアでフライトショーを行う、というのがあります。
その為にも鷹やコンゴウインコのフライトトレーニングを入れています。
サファイアのおしゃべり
時期
お迎えから4か月目頃に「おはよう」らしき言葉を話しました。
ですが、言葉はリラックスした状態の時に覚えると思っていた私は、この時期、この子がリラックスした心身にあるとは思えなかったことから、それが言葉という認識は全くありませんでした。
初めて「おはよう」とはっきり聞こえたのは、それから間もない頃で、サファイアを腕に乗せてお向かいの奥様とおしゃべりをしていたときに唐突に「オハヨウ」と言いました。
私自身は信じられず、奥様に何度も「今言いましたよね?」と、確認したほどです。
内容や意味の理解
ある程度意味を理解して話している言葉
- おはよう:挨拶の認識はあるようです。人に会った時は必ず言いますが、昼も夜もおはようです。
- おいしい:美味しい物を食べている時、おいしい物が欲しい時には言います。
- 遊ぶ・遊ぼ:午前中はフライトトレーニングで、午後は遊びの時間にしていますが、少なくともフライトトレーニングではない事を分かって言っています。
- もっと:好物のお替り催促です。これは教えました。
- ひまわり:発音は不十分ですが、随分言えるようになりました。
- はい:返事として言ってくれます。から返事のように使う事もあります。人間の子供のようで、可愛いです。
- はい、どうぞ:フライトトレーニングで早く次の餌を欲しい時に言います。私が「はい、どうぞ」と言ってフライトを促すのを覚えてしまいました。トレーニングでは気が付けばいつの間にか、彼が「はい、どうぞ」と言って、私が腕を差し出すなんていう風景にかわっている事も。
よく言うが、理解しているかは曖昧
- アイラブユー・好き好き:多分、私が喜ぶ事で餌を沢山もらえるから言っていると思います。
- サファイア:自分の名前とは認識していないようで、私を呼ぶとき、気を引く時に多用しています。例えば朝になりケージから出してほしい時は、おはよう、サファイアと言いだし、ソワソワしています。
- バイバーイ:公園などで人に会った時に時々言うようになりました。
- ごめんね:時々言っていますが、場面は選ばないので意味は解らないかな。
- ありがとう:嬉しい時は言っているようです。
言った事のある言葉
- おりこーしゃん:私がほめる時に使う言葉で飛んでいる時に1回だけ聞きました。一度言った事のある言葉は必ず言えるようになります。
- ぴょん:フライトトレーニングで「ぴょーんってしよ、ぴょーん」を真似ます。
- その他にも、私が良く使う言葉を真似ていますし、笑い声も真似ているようです。
おしゃべりトレーニングは基本的にしてない!?
実は2歳2か月の現在もおしゃべりトレーニングはほとんどしていないのですが、どんどん新しい言葉を覚えています。
トレーニング中のコミュニケーションの中で自然に学び、特に私の口癖を真似ては覚えているようです。
2024年10月に、ハーネスをつけて外出するようになったり、また2025年2月に始めたフライトトレーニングが良かったように感じています。

行動修正トレーニングの一環として教えた言葉
ただ、唯一繰り返し教えた言葉もあり、それが「もっと」「ひまわり」と言う言葉でした。
2024年6月当時は手乗りトレーニングをしていました。
トレーニングでは好物のひまわりの種を与えているのですが、彼は当初、催促をする際、私の腕をつついたり齧ったりして意思を表示していました。
勿論、痛くはないのですが、実は私が皮下出血をしやすい体質でもあり、上腕(肘より上部)にアザが絶えず出来てしまったのです。
こうした行動は決して好ましいものではありませんので、行動修正として、良い行動に変える必要性がありました。
行動修正の基本は、悪い行動を良い行動に変える事です。
その為、おしゃべり出来たら嬉しいと思っていたことから、トレーニングを入れました。
行動修正トレーニングの実際
腕に乗せた状態で私の上腕をつつくなどの催促行動がみられたら、腕をゆすります。
次に「もっと」と言いながらひまわりの種を与えるようにします。
これを繰り返し、1~2ヶ月で腕をつついたり、齧る動作はなくなったと思います。
ただ「もっと」と言えるようになったのは、随分と遅く、25年に入ってからと記憶しています。
コンパニオンバードなら皆しゃべるの?
最近のユーチューブでは、コンパニオンバードが飼い主さんに応えて色々な言葉を発して意思疎通を図っている様子も見受けられます。
ですが、コンパニオンバードの全ての鳥がおしゃべりできるわけではなく、おしゃべりを得意とする種類が存在します。
おしゃべりが最も得意な鳥はヨウム
動物と人間とのコミュニケーション方法は、主に表情や鳴き声、行動パターンからの推察になるかと思いますが、鳥類の中には明白な言葉で人間に意思を伝える者もあります。
あるおしゃべり上手なヨウムの研究によれば、彼は約200語の言葉を覚えただけでなく、その意味を理解し、時に造語をして簡潔に相手に意思を伝達する事が出来ました。
その天才ヨウムの彼の名は、アレックスです。
著書『アレックスと私』によれば、博士に愛され、博士を慕った彼の最期の言葉は、『またね。愛してる』でした。
ヨウムのおしゃべり能力とは
ヨウムは元々知性が高い事でも知られており、中でもおしゃべりを得意としています。
一方でとても神経質な鳥でもあり、その行動は、時に飼い主を悩ませる問題行動として現れます。
先ほどご紹介した天才ヨウムのアレックス君も、自己主張が強く自分の欲求を押し通す頑固な一面が著書の中でも紹介されています。博士は、そのような場面について「うんざりするほど」と記していました。
コンパニオンバードはラブバードとは異なり、あくまでも自分のしたいことを追及する生き物でもあるのですが、欲求を押し通す自己主張の強さは、ヨウムが随一かも知れません。
ラブバードについてはこちらの記事でご紹介しています。
ヨウムが初めてしゃべるのはいつ?
一般的にヨウムが言葉を発する(真似る)のは、平均して生後14か月以降と言われています。
中には11か月でしゃべる子もいるそうですが、実は、ヨウムが言葉をマスターするのは、他のインコやオウムに比べると遅いそうです。
おしゃべりが得意な種類を選ぶ
人間とのコミュニケーションを会話の中でマスターできるのがコンパニオンバードですが、おしゃべりを楽しみたいのであれば、おしゃべりが得意な種類を選ぶようにします。
とは言え、個体差によっておしゃべりが苦手な子は確かにいますので、種類の他、選別すべきポイントを抑えてきましょう。
おしゃべりを得意とする種類は?
次に挙げるインコ類は、容易に言葉を覚えるだけでなく、いくつかの言葉の意味を理解して使う事が可能とも言われています。
- ヨウム
- セキセイインコ
- オキナインコ
- 一部の種類のボウシインコ
個体差があるのは
おしゃべりを非常に得意とする者もいれば、そうでない者もいます。これは、おしゃべりが環境因子や飼い主との距離感の影響を受ける為とも考えられているからです。
ここで挙げる種類はおしゃべりが得意な分類になりますが、どれほどしゃべるかは飼い主の距離感と訓練次第かもしれません。
- ホンセイインコ
- ズアカハネナガインコ
- ヒエリインコ
- コンゴウインコ(特にルリコンゴウインコ)
- バタン
- 雄のオカメインコ
性別による差異
雄の方がよくおしゃべりをすると言われていますが、これは一部の鳥類で、セキセイインコ・オカメインコ・バタン類の場合です。
一般的には性別による差異はなく、むしろどのような性格なのかが重要なようです。
おしゃべりは性格も重要
おしゃべりができる鳥を選ぶ上で得意とする種類を選ぶ事は重要ですが、実はその子の性格(基質)もおしゃべり能力を左右する重要な要素になります。
先にご紹介した私が飼っているハルクインコンゴウインコは、まさにその性格のお陰かも知れません。
性格を判断する方法
鳥の性格を見抜くには、鳥の行動を観察します。
好奇心旺盛・社会性がある
自己主張が強く、冒険心が豊富で社交的な鳥は、よくおしゃべりをすると言われています。
この様な冒険心や好奇心、特に社交的素質(社会性)のある鳥は他のトレーニングもよく入る良い鳥と言えます。
社会性とは
社会性については、こちらの記事でより詳細に記載していますので、是非ご参照ください。
恐怖や・不安・拒絶の現れ
人とに対して不信感や不安感がある場合、人が近づいた時に後ずさりをしたり、物陰に隠れるなどの他、羽根を震わせている事もあります。
一方威嚇をするのは強い拒絶感の現れで、近寄る事を許しません。
喜び・興味・楽しさ
以下のような行動が見られたら、それは言葉を覚えたがっている証拠かもしれません。
人に会った時に頭と翼の羽根を逆立てたり、翼を広げるのは興奮している証拠です。
特に首を縦に振る・尾羽を素早く左右に振るのも喜びの表現です。

興味や好奇心を示す時の仕草として、目の虹彩を縮小させる事を繰り返す事も良く見られます。まさに目を白黒させてワクワクドキドキしているのです。
若い方が良いが老鳥も訓練次第
好奇心旺盛なのは若い鳥に見られる特徴でもありますが、鳥類では年を重ねた鳥でも新しい芸を覚える事が可能と言われています。
中型から大型のコンパニオンバードの寿命はとても長く25年~50年(以上)です。
一方で若い時の好奇心や自己主張の強さは、問題行動として現れる場合も少なくなく、しつけや訓練をきちんと入れておかなければ長い期間悩まされる事にもなります。
ですが、鳥も年を重ね老年期を迎えるとその性格は穏やかになり、新たな芸を覚える事が可能になるのだそうです。
おしゃべりトレーニングとは
おしゃべりトレーニングと言うと、対面になって同じ言葉を何度も繰り返し、その都度ご褒美を与えるイメージが強いかもしれません。
ですが、おしゃべりが可能になる環境が整えば自然にいくつかの言葉を話すようになります。
対面での訓練よりリラックスできる環境を
まず、鳥がおしゃべりをするのはある程度の年齢に達し、かつリラックスした状態の時です。
ひとりでいる時にテレビなどの雑音ばかり聞かせていると、そこから覚えてしまうかも知れません。
おしゃべりが得意な子を迎えたのにしゃべらない
おしゃべりが得意な種類の子をお迎えした筈なのに、二言か三言くらいしかしゃべらない、そんな場合には、何か他の原因があるかもしれません。
繰り返しますが、通常言葉はリラックスした状態で最も覚えます。
そのため、繰り返し言葉を教えているのにその言葉は言わず、扉の開閉の音や、日常の雑音ばかりを発してしまう、なんて事も決して珍しいことではないそうです。
今の環境に十分に慣れていない
コンパニオンバードは規則正しい生活を好むと言われています。十分な睡眠と栄養のある食事(ペレット)を摂れるように配慮し、日中もリラックスした状態を作るようにします。
ここで言うリラックスした状態とは、人間の注目のない環境の事です。
例えばリビングに一緒に居ても構うのではなく、玩具を与えて一人遊びができるようにしたり、あるいは、ケージに黒いカバーをかけておくのも効果的です。
過度の接触は今後の生活の為にも厳禁
可愛いあまり構ってしまいがちですが、一人でおもちゃで遊べるようにし仕立てる事も、飼い主の重要な役割であるのと同時に、このことが、あらゆるトレーニングや生活の場面に反映されていきます。
その為、自立させるべき時期はおしゃべりトレーニングよりも社会性を身に着けさせることを優先すべきです(優先してください)。
寿命の長い大型鳥は、人間よりも長生きすることは珍しくありません。そのため、飼い主の入院を期に保護されていく子も多いのもまた仕方のないことと思います。
先述しましたが、誰からも愛される鳥になるように今の飼い主さんが仕立てる努力をする事なので、飼い主さんべったりになることなく、他の人とも生活できる練習を常に意識していきましょう。
鳥自身自己評価が低い
おしゃべりをしない原因に、自己評価が低いという事が考えられます。
自己評価が低くなるのは、トレーニングで失敗を繰り返してしまう時などです。
トレーニングでは大げさなくらいほめ、終了するタイミングは必ず成功したタイミングにしましょう。
最後に
私自身が振り返ると、過度に接触をしていない事で、一緒にトレーニングをしたり、遊びの時間を共有する事が、サファイアにとっては何よりもうれしいのではないでしょうか。
そしてそれは、私自身の最大の喜びでもあります。
また、同じ食べ物を分かち合う事は、信頼関係を構築する上で最も効果的なことだと実感しているのと同時に、彼がリラックスできる時間でもあると見受けます。
スプーンで食べるわずかなアイスクリーム、割って与えるチョコレートのかけらは、同じ器、同じものから分け与えるからこそ、嬉しいのではないでしょうか。

こうした時間に自然に言葉がこぼれるから、愛鳥もまた同じ気持ちになり、自然に言葉を覚えるのかも知れませんね。
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