肉色当ての意義
鷹との信頼関係を築く上では、共に行う日々のフライトが不可欠です。その為に重要なのが減量ですが、体重測定だけでは測りし得ない体のメカニズムがあります。
今回はそのようなメカニズムを推し量る為にも重要な、肉色当てとその意義について記事をまとめてみました。
肉色当て(ししあて)とは
肉色当てとは、猛禽類の竜骨突起部(胸の出っ張っている部分)に載っている胸筋の量を測る事でその個体がやせているか、太っているかを見る方法です。

竜骨突起と肉色当ての様子 参考:猛禽類学
親指と人差し指で上から下へ竜骨突起部を撫でおろします。
肉付きは、太っているほど丸みを帯びて周囲に脂肪がつくようになり、やせていくほど筋肉は小さくなり、感触はくぼみを帯びてきます。

左から肉が低く、右へ行くほど高い
肉色のコントロール
肉色当てで肉色が高ければ餌を減量をして、脂肪をエネルギーに変換し、筋肉を発達させる為に運動をおこないます。
逆に肉色が低すぎる場合には、脂肪が消費されつくし既に筋肉を消費してエネルギーに変換しているため、餌を増やして筋肉(タンパク質)を増やす必要があります。
肉色当ての意義
肉色当ては、体重測定よりも重要と言われています。
これは、肉色を見てく過程で脂肪の消費を見ることが出来、適切な筋肉量を維持することが出来るからです。
猛禽の減量中に注意をしなければならないのは、筋肉が少なすぎる時です。こうなると猛禽は羽根を動かすことが出来ず、弱々しい飛翔になってしまうのです。
その為、毎日給餌の前には肉色当てをして筋肉量を測る必要があります。
もし判断に迷うのであれば、『高めの肉色』が基本になります。
肉色当てと体重測定

キッチンスケールに止まり木を設置して毎日フライト前に計測:2025年9月
実際、肉色当てだけで猛禽の判断をするのは初心者には難しいかもしれませんので、体重測定との併用が好ましいとも言われています。
体重測定の落とし穴
ですが、体重測定のみでフライトを判断して個体の減量を判断すると、気づかない内に筋肉を減量させ過ぎている場合があります。
減量中、一定期間は緩やかに体重の減量が進むのですが、急激に体重が下落するタイミングがあります。
この時猛禽の体内では、既に脂肪が消費しつくされてしまった為、筋肉をエネルギーに変換しているのです。
こうした状態では猛禽は飛べなくなるのですが、これを体重が重いからと見誤ると、更に給餌量を減らそうとするため、餓死に移行する恐れが生じるのです。
肉色当てとフンの性状
代謝(たいしゃ)とは、生命体内で起こる物質の合成と分解、そしてエネルギーの変換を伴う一連の化学反応の総称で、活動に必要なエネルギーを作り出し、不要な老廃物を排出する工程を言います。

水分の多い、緑色のフン
実は代謝物であるフンの性状を見ると、代謝がどれくらい進んでいるのかがわかります。
減量中に注意深く観察するのは、体重と給餌量と代謝物であるフンの性状です。
脂肪が消費されている場合は尿の多いフンが排出されているのですが、脂肪の燃焼が終わると筋肉が消費され水分の少ないフンが出るようになり、これが、体重が急速に下落する原因です。
その為、フンの性状も肉色当てと合わせて観察を行い、水分が少ないフンが見られるようなら、給餌量(タンパク質)を増やします。
肉色は低すぎてもロストにつながる。
肉色は高すぎても低すぎてもロストに繋がります。
特にある程度の減量をしたにもかかわらず飛び方が変だな(言う事を聞かない、弱々しいなど)と思ったら、無理にはフリーにせず、栄養を摂れるようにし、紐をつけて筋力アップトレーニングを行う事をお勧めします。
参考文献
ハヤブサ・ハリスホークを楽しむ本 高倉 佳奈子


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