鷹を飼う場合に用意するもの
鷹は猛禽類と言う種類に属し、通常専門店での扱いになります。
その為生体はもちろん、鷹用のグッズも一般のペットショップで購入することはまずできないと思った方が良いでしょう。
私がそうでしたが、お店が県外か、県内でも遠いい場所にしかありませんでした。そのため、買い忘れがあると改めて時間を作って出向かなければなりません。
自分の経験を基に、最初に準備しておいてよかった物や不準備で失敗した事を踏まえてご紹介します。
お迎え前に用意する物
お迎え前に準備するのが望ましい物は以下になります。生体や鷹道具は購入を決めた時にお店の方が助言下さるのでそれに従いましょう。
近所ですぐに購入できないようなものは要チェックです。
- 小屋・止まり木・ケージ
- 輸送箱・大型のキャリーケース
- フン対策
鷹部屋・鷹小屋
鷹の飼育には鷹部屋や鷹小屋などがあります。
鷹部屋は、鷹小屋よりも立派な物になりますが、これらは必ずしもなければならないものではありません。

知り合いの鷹さん。手作りの鷹小屋で悠々自適に。
私自身、鷹を飼うのであればやはり特別な小屋を用意すべきかと思い、当初数年間は飼う事が出来ませんでしたが、色々調べた結果、住宅内で飼っている方もいる事が分かり、集合住宅でお迎えをしました。
止まり木の位置
一般的に鷹部屋や鷹小屋では、横木式の架(ほこ)を設置します。
架は、止まり木、止まり台の事で、丸太や2×4材(ホームセンターで買える材木)を壁から壁に渡します。
止まり木の位置は、作業がしやすい範囲で、鷹が人を見下ろせるようになるべく高くした妥協点にします(参考文献:ザ・猛禽類)。
一般には小屋なら床140~150cmくらいと言われています。
重要なのは、架には必ず架垂(ほこだれ)をかける事です。
架垂は、ホームセンターで買える人工芝(90cm×180cm)を止まり木にかけ、床上まで垂れさがる状態にし、基本的には四隅を固定してピンと張った状態にします。
これには2つの意味があります。
一つ目は、ぶら下がり事故を防止する事です。
通常鷹は止まり木に係留させていますが、何かに驚いた拍子に飛び立とうして、時に足場を踏み外す事があります。
その時にぶら下がる事があるのですが、架垂があればそれをよじ登って止まり木に戻る事ができます。
また、2つ目は、鷹が止まり木に紐を巻きつける事を防止する為です。
ただの丸太に稽留させた場合、下に降りた(落ちた)時に反対側から戻る可能性があります。すると、丸太に紐が巻き付いてその分紐が短くなり、これを繰り返されるとといずれ身動きが取れなくなります。
その為架垂をかけておくことで、反対側から戻る事を防止できるのです。
パーチ(止まり木)・ケージ
ハリスホークや一部の猛禽類は、部屋の中でも十分に買う事ができます。
パーチという止まり木のみを部屋の一角に置いておいても大丈夫です。
私は集合住宅に住んでいたので、購入当初から2年ほどは、リビングの一部にラックを置いて、そこに稽留させていました。

購入当初:アヒル寝は幼鳥特有の姿。
止まり木は、鷹が立っている時に、最低でも尾の先端が床に着かない高さにします。
上記写真の止まり木は高さが不適切でした。
このような不適切な高さの場合、尾の接着した部分で変形をしたり、常にフンが付着するなど問題が生じます。
その為、後に高さを足しました(下図参照)。

高さを足して尾が下につかないように。リラックスポーズの休めの姿勢
パーチとファルコンブロックの違い
お勧めなのは(ボウ)パーチ
(ボウ)パーチ:猛禽類を安全に稽留できるアーチ型の止まり木です。尾を美しく保ち、かつ落下による宙づりや反対側からの戻り防止ができる為、最も安全と言えます。
ファルコンブロック:パーチより高さがありますが、止まる場所は丸い台に人工芝があしらわれ、一見お洒落な感じの止まり木になります。ですが、安全性は、上記の点でパーチに劣ります。
掃除を考えるならボウパーチがお勧め
猛禽類はうんち💩をするとき、お尻を上にあげて後方にフンを飛ばします(この姿は何とも可愛い)。
所がこれが、非常に遠くまで飛ぶのです。
なので、掃除を考えるとファルコンブロックよりもパーチの方がお勧めです。
鷹のフンは後方一方向に飛ぶのですが、丸いファルコンブロックの場合、鷹は360℃体の向きを変えられる為、結局あらゆる方向にフンが飛んでいく事になり、部屋が汚れる範囲が広くなります。
その点、パーチのように一文字であれば、少なくとも前後2方向にしか向きを変えられないので、汚れる場所は前後の2か所に納める事が出来るのです。
種類は豊富
安価な物では塩ビ管で作られた物(1万円以下)や、何万円もする高価なものまであります。
止まり木(パーチ)の自作で注意する事
パーチは4万円以上するので、私は自作の止まり木を作りました。
ただ、思った以上に危険を感じました(後述)ので、作成して2~3日間は不具合があれはすぐに改善できるようにした方が良いかも知れません。

止まり木の自作では、鷹が羽ばたいても安全なものを。
特に3・4・5番目は注意しましょう。
- 十分な高さがある 鷹の尾は思ったより長く、高さが足りないと尾の先端に折り目が付き羽根を痛めます。また、常にフンが付いて不衛生にも。
- 人工芝を必ず巻く 鷹だけでなく鳥類は、止まり木がつるつるしていたり、不適切な太さだと足の裏に炎症を起こします(腫瘤症)。自分で自作をする場合には、必ず人工芝を巻くようにします。
- しっかり固定されている ラックを使用する場合はラック自体をロープなどで柱や壁面に固定し、鷹が羽ばたいても動いたり、倒れたりしないようにしておきます。
- 枝のある木材の使用は慎重に 木材はホームセンターで購入できますが、枝などがある場合、ロープジェスが引っ掛かる事があります。注意深く観察し固定する位置を調整するようにするか、ないものを使用するようにします。
- 落下・宙づり防止 止まり木から床までに高さがある場合は、落下防止や宙づり防止をします。
私は仕事の休みの日を見計らって待期し、常に監視カメラで観察していました。
特に宙づり状態では30分で命を落とす危険があると言われています。これは稽留時だけでなく、ひも付きのフライト訓練でも最も注意する事の一つですので、しっかり覚えておきましょう。
室内飼育ならフン対策
匂い
私はリビングに鷹を置いたのですが、お迎え初日、そのフン💩の匂いにとても驚きました。
とにかく思った以上に臭かったのを覚えています。
猛禽類とは肉食性の鳥類を言うので、さすが肉食動物と感心しましたが、これはとても耐えられないと慌ててペット用強力消臭剤を準備しました。
汚れ
フンの掃除は大変かもしれません。
思う以上にかなり遠くまで飛ばしますし、一文字の止まり木を使用していても、向きを変えて前後に飛ばすため双方で対策が必要です。
飼育当初、前後にペットシーツを敷いていましたが、鷹が下りてきてむしったり、羽ばたく風圧で吹き飛んでしまいました。

かなり広範囲にフンを飛ばします。

仕事から帰って目にした光景
その為ペットシーツの上に人口芝を敷いて、重石替わりに塩ビ管のパーチを置きました。
長すぎる紐にも注意が必要です。また鷹の手(脚)の届く周辺に物は置かないようにしましょう。
輸送箱
鷹のお迎えについて調べると、専用のキャリーケースとして輸送箱というものがあります。
これは木でつくられたもので、中には止まり木があります。
凝ったものでは引き出し付きの物や、お洒落な模様が配されたものなど種類は豊富ですが、安くても4万円前後する高価なものです。
また、箱自体が重いので運ぶにしても車の荷台などに置く方が無難でしょう。
私はセダンに乗っているのですが、価格も高いのと、座席に木でできた輸送箱を置く事には抵抗がありましたので、迷いましたが購入しませんでした。
大型ペット用のキャリーケースと注意点
現在も愛用しているのがペット用のキャリーケースで、この中に止まり木を置いて使用しています。

大き目のキャリ―で。停車中には片足立ちでリラックスする姿も。
プラスチック製なので持ち運びが軽く、洗浄しやすいですし、数千円で購入したと思います。
中は、床の部分に合わせて人工芝をカットし、止まり木をくくりつけました。芝の裏地に強力両面テープを貼ってケースに貼っているだけですが、しっかり固定できているので走行中に鷹が不安定になるような事もありません。
汚れたら、芝を外して水洗いしています。
隙間から脚を出させないように注意が必要
専用輸送箱は四方が木の板できている為外の景色は見えないようになっています。
ですがペット用キャリーケースでは、スリット(隙間)や扉から周囲が見えるようになっています。
その為、扉やスリットから外が見える状態で餌を認識させるものを置くと、鷹が脚を出してつかんでしまう事があるので、注意が必要です。

私のように座席に物を置きがちな人は注意です。
これも私の経験(失敗)談ですが、うっかりと、鷹から見える位置(上の写真の赤丸)に口餌籠を置いてしまった事がありました。
鷹はそれに餌が入っていると知っていたため、スリット(矢印)から脚を出して口餌籠をがっちりとつかみ、なかなか離してくれなかったのです。
走行中の事でしたし、私自身鷹の扱いが未熟だった為、本当に焦りました。
鷹は、つかんだ物は自分の獲物として確保するので無理に取り上げる行為をするとその後のフライトに悪影響を及ぼします。
その為、このような時には無理に取り上げず、餌と交換に脚を離すようにさせます。
キャリーでは目隠し用の布を張るなどして対策しておきましょう。
普段の生活の中でも言える事ですが、餌を認識させるルアーや餌入れは、彼らの目の届く所には置かないようにします。
眼の届くところに置くとそれをめがけて襲います。
所がそれを無理に取り上げるような事があれば、獲物を横取りされたと思い、これを繰り返される事でいずれ狩りを諦めていくようになると言われているからです。
このあたりについては、ルアートレーニングの記事でご紹介していますので、ご参照いただければ幸いです。
フライト練習に使用する物
以下の物については初期フライトでも必ず必要になりますので、チェックリストを準備しておきましょう。
注意:専用の物はお迎え当日にお店で購入する事もできますが、商品によっては取り寄せが必要な場合があります。予めお店の方にお伝えして、一緒に持ち帰れるようにしておくと良いでしょう。
- グローブ(専用)
- グローブ用クリーム(手入れ用)
- 餌入れ(専用でなくても可)
- アンクレット・リーシュ・ジェス(通常装着済み)
- 忍縄(専用)
- ルアー(専用)
- 笛
- 鈴(専用)
- GPS(専用)
必ず用意しておく物
グローブとお手入れ用のクリーム
猛禽を扱う際に利き手の反対側に使用する革製の手袋です。消耗品の一つです。
グローブには常に餌を乗せる為汚れますが、革製品は水やお湯で洗うと固くなるため、お手入れは革製品用のクリームなどで行います。
エサ入れと種類
腰につけられるタイプで、餌をこぼさないもの、鷹から中身が見えないものを用意します。
- 口餌(籠):一口ずつ細かく切った肉を入れます。釣具店のエサ入れも便利。
- 餌合子:肉のスライスや細かく切った肉を入れます。容器と蓋を(カスタネットの様に)打ち付けて音を鳴らし、呼び戻しに使用します。
アンクレット・ジェス・リーシュ
これらは通常装着されています。
猛禽類には個体識別用の脚環がはめられています。
それとは別に、フライトや稽留用の装具としてアンクレット(革製)、ジェス、リーシュの順に装着をしています。
- アンクレット:革製の足かせです。消耗品である為、古くなった場合は交換が必要です。ハトメと言う器具を用いて自分で作る事ができます。
- ジェス:アンクレットに差し込んで使用し、ロープジェスとフライトジェスがあります。ロープジェスは木の枝に引っかかる危険性がありますので、フリーでの使用は非常に危険です。ひも付きの訓練などで行動制限をします。フライトジェスは、革製の物でフリーフライトで使用できますが、切れ込みのあるタイプとないタイプがあり、より安全なのは切れ込みのないタイプです。
- リーシュ:ジェスの先につけて猛禽の行動制限を行います。グローブに留まらせ足り、パーチに停まらせたり、用途に合わせて長さを変えられます。登山用のザイルで自作をする事ができます。
霧吹き
暑い日や、水浴びが嫌い、鷹狩などの遠征の際に体に霧吹きします。
紐付き訓練の場合
まだまだフリーにできない場合には行動制限をする為に紐をつけて訓練します。
忍縄(おきなわ)

鉄製の杭は重いので、持って行かれない
20~30メートルの縄。初期訓練時に行動制限のために使用します。
当初は専用の縄がある事を知らず、ホームセンターで太さ3㎜程度の縄を使用していましたが、購入元で無料で行う訓練に行った時に、専用の縄がある事を知り、購入しました。
スイベル
ロープとロープを接続する為に使用する金具です。忍縄の先端に付けておくとリーシュの接続が簡単になります。

紐の先端は二重結び
私は調教1年目の時、ロック機能のないフックを使用して、鷹をベランダの手すりに稽留し、気づかないうちにロストしていた大失敗をしたことがあります。
幸いすぐに回収できたからよかったものの、紐付きでロストすると樹の枝や建物などに引っかかり非常に危険ですので注意しましょう。
ルアー(疑似餌)と笛

ルアーにはにはヒヨコを1羽つけ、ご褒美にしテンションを上げさせる
活餌などの代わりに使う疑似餌で、猛禽の呼び戻しや運動をするときに使用します。
空中でキャッチをさせる芸的な意味あいより、疑似餌を使用すればすぐに呼び戻せる、と言う回収手段としての確実な一手にする事が重要です。
笛は、ルアーと関連付けて使う事でトレーニングメニューにメリハリを持たせます。
羽根つきの物は、羽根をむしる事を覚えさせるので、消耗品ではありますが、メンテナンスにより直してもらう事も可能です。

ルアー:羽根をむしる楽しみを与える事ができる。
練習方法
笛を吹き、ルアーを投げて地面に落とします。
ルアーにつける餌は、大きい物(例:ひよこ半分~1羽)にし、渡り練習後のご褒美として与えます。
こうすることで鷹はルアーをキャッチすればご褒美をもらえる、と覚え、ルアーが確実な回収手段となりえます。
練習方法の詳細についてはこちらの記事もご参照ください。
フリーフライトの場合
鈴
どこにいるかがわかります。
鈴は片足につけますが、両足につける場合には音色の異なるものを用意しましょう。
注意が必要なのは、鈴は必ず猛禽類など専用の物を使用するようにすることです。
一般の鈴は切れ込みが広い為、鷹がけがをする恐れがありますが、専用の物は狭く作られているため、安心して着ける事ができます。
なくても良い物
GPS
フリーになって筋力が付くと、ロストの危険が高まります。
人気種はマーシャルのGPSですが、アイパッドが別途必要で、アプリで追跡をします。
価格は29万8000円と非常に高価なものですが、発信機(鳥につける方)は最大5個まで取り付ける事ができます。
ハヤブサの場合にはあった方が良いようですが、ハリスではあまり必要ないようです。
フード
ハヤブサなどは獲物とみるとすぐにとびかかる為、飛んでいない時にはフードをかぶせています。
鷹にもフードをかぶせる場合はあるようですが、基本的には不要です。
いつでも用意できる物
ここでは、必要なものだけどいつでも購入できる物をご紹介します。
水桶
水浴び用です。水飲みを兼ねて水浴びをしますが、汚れがあるようなら速やかに交換します。
ホームセンターの植木鉢皿、コンテナなど大きさがある程度あるものに水を入れて置いておくようにします。

水浴び用に置いた桶ですが一度も使用せず…
人工芝
ホームセンターで購入できます。なるべく凹凸のあるものを用意します。
鳥類は、つるつるした場所に係留を継続していくと足の腫瘍ができるので、予防の為に必ず使用するようにします。
体調管理に使用する物
パーチ付き体重計
デジタルキッチンスケール(2㎏用)に止まり木を付けたものです。
鷹の使役に慣れるまでは毎日体重を計測し、フライトコンディションを見る際の参考にします。
コンディションは、体重計の数値だけでなく、肉色あて(ししあて)も重要になります。また、フンの正常も把握します。
補足:餌用デジタルスケールもあれば便利
体重管理の注意事項
フライトコンディションは体重のみで管理する事はできず、肉色(しし)あてやフンの性状も大切な観察項目です。
フライトを始めたころ、なかなか思うように飛ばすことができずに随分悩みました。
体重コントロールや肉色あては勿論、餌の量をはかり、フライト前後で体重を比較し餌の消化状態なども見るようにしていました。
🐥ひよこは消化がとても速く、ウズラの方が腹持ちは良いので、日々のフライト練習ではウズラを一日に1/2羽を与え、フライトで見慣れない土地などに行くときには、5日前あたりからひよこを併用して徐々に体重が落ちるようにして、調整をしています。
体重コントロールについては、改めて記事を投稿したいと思います。最後まで読んで頂きありがとうございました。
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